「リーデルツアー」の特別感、JTBグランドツアーが探す未来のツアー

キーワードは「特別感」と「自由度」
事前アンケートで要望把握、さらなる企業コラボに可能性も

御社のビジネスモデルと競合する会社はどこだと思われますか?

綾部 顧客ターゲット層が重なることはあっても、弊社と同じビジネスモデルの会社は存在しないと考えている。それだけ、弊社の商品には独自性がある。キーワードは「自由度」。団体ツアーにもかかわらず、現地における自由度の高さは他にはない特長だと捉えている。

自由度の高さを実現するために工夫していることはありますか?

綾部 ツアーに行く際、事前に「出発前アンケート」を実施している。アンケートに「このツアーで何をしたいか」「食べたいものは何か」「どこへ行きたいか」など、参加者の要望を全て記入してもらう。そして、実際にアンケートに記載された内容を我々が現地で実現できるよう工夫している。

 お客様は「パッケージツアーでは個人的な要望を聞いてはもらえない」と思っていらっしゃるが、我々は「出発前アンケート」を通じて個の対応をし、また延泊や現地合流、離団、中抜けをすべて受けている。

吉田 一般的にツアーのお客様は、ご不満があると最後のアンケートにそれを記入されると思うが、弊社は「出発前アンケート」をもとにスケジュールを組み立てられる。お客様にとっては現地に行けば完璧に整っている状態で、素晴らしい仕組みだと思う。

これまでにどのようなご要望があったでしょうか

吉田 無理なことを書かれる方は基本的にいない。こういう料理を食べたい、映画で見た場所に行ってみたいといったご要望をいただいて、それが他のお客様にとっても良いアイディアである場合、皆様にお電話して「今回、こんなアイデアがあるので一緒にどうですか?」とご案内すると、大体喜んでくださる。

そして次の年からはツアーの旅程に入ってくることもある。

綾部 欧州原産の犬種を飼われていたお客様がそのペットを亡くされ、その原産地へのツアーに参加して故郷で散骨したいと希望されたことがあった。我々も叶えてさしあげたかったので現地の大使館に電話したり独自で調べたりしたものの、現地の規制で不可能だった。

 しかし「できない」で終わりにせず、「お写真を持ってきてください」とお願いし、骨の代わりに海に投げていただいた。最初のご希望の形とは違ったが、そのお客様には満足していただけたと思う。

今後、どのようなパッケージツアーを企画していきたいですか

綾部 今はインターネットが普及し、シニア世代でも多くの情報を探すことができる。そういう方々に対してどのようなツアーを企画するかは常に考えているが、私は「選択」がキーワードになると考えている。

 具体的には、一部のツアーで観光を選べるようした。パッケージツアーの観光地というと興味がなくても行かなくてはならない印象があるが、行きたい場所を選べれば顧客満足に繋がるのではないか。そう考えたところ実際にお客様からもご評価いただけている。

 また、出発前の添乗員からの電話をストレスに感じていらっしゃるお客様もいるということが分かってきた。旅行会社が良かれと思っていることが、実はそうではないということが意外とあるのではないかというのを調べ始めている。

ありがとうございました