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「リーデルツアー」の特別感、JTBグランドツアーが探す未来のツアー

キーワードは「特別感」と「自由度」
事前アンケートで要望把握、さらなる企業コラボに可能性も

企業とのコラボレーションは以前から積極的に取り組まれていたのでしょうか

綾部 取り組み始めたのは3年前だが、当初はクレジットカード会社の会員誌に広告を掲載するというようなことをしていた。これに対して現在は、旅行であればグランドツアー、車ならレクサス、ワイングラスならリーデル、というように顧客層が重なる企業があることが見えてきた。どの企業も困るのが新規のお客様の獲得であり、そうした企業に対して我々からアプローチしてイベントを開催することが多い。

 最近では、「ソニーストア銀座」との共同企画で、「プロのカメラマンが伝授する旅行写真の撮り方のコツ」をテーマにソニーストアの店舗内でセミナーを実施した。旅行と写真撮影に興味を持つ約40人が参加し、受講後は実際にデジタル一眼レフを手に取る方もいらっしゃった。

 また、5月にはショパンの出身地であるポーランドの旅行説明会と、その後に「カワイ表参道」でショパンのピアノ演奏を聴いていただくイベントも開催した。4月にはモンベルとの共同企画として、渋谷の店舗でスイスの旅行説明会も実施した。

そういった取り組みはどのようなきっかけで始まったのでしょうか

綾部 2005年の会社設立当時、弊社がターゲットとしていたのは団塊世代で、その世代の方々は「お金の使い方」をご存知だった。しかし、15年経った現在、ターゲットは60年以降にお生まれの「新人類」へと移行している。新人類の方々は平成の大不況を経験しているから、本当に良いものにしかお金を使わない。

 また、業界の流れとしても、15年前はJTBグループが例えばケニアを扱うというだけでも珍しさを感じていただけたが、現在は秘境を扱う旅行会社も珍しくない。

 さらに、今はインターネットの普及により自分で簡単に航空券やホテルを予約できるため、わざわざパッケージツアーに申し込まなくても、個人で十分に旅行を楽しむことができる。今後、パッケージツアーが生き残るには何か「特別感」のあるものが必要だと感じていて、そこで取り組み始めたのが企業との共同企画だった。

富裕層という意味ではJTBグループのロイヤルロード銀座も同じお客様をターゲットにしていると思いますが、どのようにして棲み分けているのでしょうか

綾部 ロイヤルロード銀座の方が「ラグジュアリー感」を求めており、旅行費用の平均予算も高い。弊社も平均単価は100万円を超えているが、豪華さよりも「特別感」を重視している。例えば、少人数のツアーという部分はロイヤルロード銀座と一緒だが、「三ツ星レストランでフォーマルに食事をする」というよりは、「地元の人しか行かないようなバルで料理を楽しむ」という発想で企画している。