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国際観光都市東京の現在と将来を語る 東京都連・全旅連全国大会記念座談会(3) 民泊は安心・安全第一に

 ―都連が、この数年最も力を入れていたのが民泊対応です。

 工藤 インバウンドが急伸したり、新しいビジネスシーンとして世界的にシェアリングエコノミーが普及したことが背景にあることは分かるんですが、問題なのは、旅館業法という法律がありながら、許可を得ない違法な民泊、ヤミ民泊が急激に増えてしまったことです。

 そこで我々宿泊業界が、施設利用者や地域住民の安心・安全を維持するという観点で、国に対して働きかけを続け、年間営業日数の上限180日や違法宿泊施設に対する罰則強化など、一定の意見が盛り込まれ、まとまったのが住宅宿泊事業法(民泊新法)と改正旅館業法です。民泊新法という法律による規制が実現したことは世界の宿泊業界からは評価を得ていますが、民泊新法は3年で内容を見直すことになっています。

 新法施行後も民泊マーケットは拡大し、最近では世界的に人気観光地のオーバーツーリズムも課題として浮上してきています。新法施行以降も、地域ではゴミ出しや騒音など、利用者のマナーに関する問題も引き続き多いと聞いています。見直しに対しても、こうした負の面もキチンと検証した上で、施設利用者、住民の安心・安全、生活環境を維持したいという、我々の立場は譲れません。

 日本は自然災害が多い国でもあります。災害が起きれば訪日外国人旅行者は、言葉や情報の面で弱者の立場に置かれます。家主不在型の民泊施設には、こうした心配もあると思います。

 森永 私は都連の政策部長として、齊藤理事長や工藤理事長代行に支えられながら、民泊問題に取り組み、主に国会議員、都議会議員や都庁、区議会議員や区役所への陳情といった活動で、民泊問題に取り組んできました。

 新法はできましたが、引き続き強い関心を持ち続けることが大事です。地元での人脈づくりと維持を大切にしながら活動を続けています。ほぼ毎月の理事会で、民泊の最新の届出と登録状況の一覧を配布するなど、都連としての情報共有に努めています。

 4月15日現在で、全国の民泊届出数は約1万5千軒です。東京では新宿区で1千軒を突破しています。私の地元の豊島区は2番目に多い662軒、渋谷区598軒、台東区537軒と続きます。民泊事業の廃止届出もありますが、改正旅館業法による簡易宿所営業の規制緩和も影響しているようです。地域の実態をしっかり把握して、引き続き地元の行政機関や議員との折衝を続けていくつもりです。

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情報提供:トラベルニュース社