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トップインタビュー:ドイツ、デジタル強化で予算追加-19年は「音楽の国」[PR]

18年は「美食の国」、年末から「第九」アピール
デジタルマーケティングに3万ユーロの追加予算

-今年のテーマは「美食の国ドイツ」ですが、キャンペーンのこれまでの成果を教えてください

西山 全世界的なプロモーションテーマは「食文化」で、特に「美食の国ドイツ」をアピールしている。これまでのビールやソーセージといったB級グルメに加え、地域の食の豊かさや食のイメージの多様性を定着させることを主眼としたキャンペーンを展開中だ。ドイツワイン協会とのコラボレーションで、ワインに合う美食を紹介し、ドイツがプレミアム感のある食文化を有するデスティネーションであることをアピールしている。

 その一環として、5月23日と6月21日にドイツ大使館の協力で、ドイツの旬の食材をアピールするためにホワイトアスパラガスと白ワインを楽しんでもらうプレス向けイベントを実施し、インフルエンサーによる情報発信を企画した。メディアによる情報発信では、今年はすでにオンラインメディアを中心に38本の記事が掲載され、のべ2億6500万人にリーチすることができた。なお、インフルエンサー向けのファムトリップは継続中で、情報発信の際は「#EnjoyGermanFood」を入れてもらっており、ドイツの美食の拡散をねらっていく。

 加えて、ソーシャルメディアを通じたデジタルマーケティングを強化している。ドイツ観光局のTwitterで食に関する情報を15回ほど発信し、ドイツ16州それぞれの食の魅力を伝えるPR動画も紹介した。ホワイトアスパラをハイライトしたニーダーザクセン州の動画再生回数は2万回を超えるなど反響は大きかった。

 食をテーマに加えた旅行商品の数も増えており、ドイツを販売している旅行会社の上位19社のシリーズ物のパッケージツアーでは、18年上半期はツアー数が前年よりも67%増加した。


-強化しているデジタルマーケティングについて教えてください

西山 日本支局ではここ数年デジタルマーケティングへの予算を増やしており、16年は全体の予算の31%をデジタルマーケティングに費やした。17年は2年に1度の大型イベント「ドイツ旅行展」を開催したため27.2%に下がったが、18年は追加予算分も含めて49.5%を配分する。ドイツ政府としても産業のデジタル化を進めており、そのなかでも観光業界はパイオニアになることを期待されているところだ。

 今夏に本国でデジタライゼーション向けの予算が追加され、日本支局にも3万ユーロ(約390万円)が配分された。それを活用して、消費者向けのTwitterリツイートキャンペーンを9月から11月まで実施中だ。第1弾は「城」をテーマに9月の第一週からスタートしたが、非常に反響が大きく、約1週間で7000フォロワー増えた。昨年3月にTwitterの公式アカウントを立ち上げてから、今年はじめまでのフォロワー数は1万7000人。KPIとして年末までに4万人のフォロワー獲得を定めているが、11月12日時点で6万人を超えた。Twitterでは戦略としてドイツ大使館、LH、日独協会などドイツ関連組織と協力し、お互いにリツイートしながら全体でドイツを盛り上げている。

フォーラム内のセミナーでは「自動車大国ドイツ」「観光の国ドイツ」をテーマに、sota2台がプレゼンテーションを実施  また、10月3日にドイツ大使公邸で開催した「ドイツ統一の日」記念レセプションでは、AR(拡張現実)体験コンテンツを提供。専用アプリをスマートフォンにダウンロードし、専用の画像をスキャンすると観光関連の動画が閲覧できるもので、好評だった。今後は旅行会社やプレス向けイベントなどで活用していきたい。このほか、11月8日にはドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)主催の第14回日独産業フォーラムに参加し、デジタライゼーションの一環として、ロボット開発会社のヴイストンが製造する卓上ロボット「Sota」によるプレゼンテーションを実施した。