OTA、LCCとの関係強化を要望‐CAPA国際会議

ともに成長著しいOTAとLCC
パートナーシップ強化で旅のブランド力向上を

OTAとLCCは「パートナーシップ築ける」

ベンチャー・リパブリックの柴田氏  こうしたなか、OTAは今後、LCCとどのようなパートナーシップを築いていくべきなのか。ベンチャー・リパブリックの柴田啓氏は「OTAもLCCも同じベンチャー企業だが、LCCにはあまりベンチャーのメンタリティを感じない」とコメント。「すべてを社内でやろうとする傾向があり、私ならもっとパートナーシップを重視する」と指摘し、OTAとの協業を呼びかけた。

 トラベルポートのミン・フン氏も「LCCは消費者への直販を望んでいるかもしれないが」と前置きした上で、「OTAも消費者にさまざまな選択肢を提供したいという思いで生まれた」と説明。「ポイントプログラムなどのサービスで顧客のロイヤリティを高め、消費者を惹きつける努力をしてきた」と付け加え、OTAとLCCのパートナーシップに賛成した。

トラベルポートディレクターのフン氏  これに対し、モデレーターのフーン氏は、OTAの提供する情報が多岐に渡り過ぎていることから、「利用者が混乱しているのではないか」と指摘。「選択肢があり過ぎて自分の選んだ航空券が本当にベストプライスなのか分からない、という不安をどうしたら払拭できるか」と問題を投げかけた。柴田氏は「透明性のあるメタサーチによって懸念を減らせる」と回答。ただし、メタサーチで航空券の価格や航空会社のサービス内容を比較できても、実際のサービスは体験してみなければ分からないことを課題として挙げた。同氏によれば、ベンチャー・リパブリックは500人以上のブロガーと提携し、利用したLCCの感想や、従来の航空会社との違いに関する記事をウェブサイトに掲載。ユーザーから高く評価されているという。

 ペラー氏も「我々はレビューを重視している」と話し、「行きたいと思った場所へすでに行った人がどう感じたか、感想を共有することで安心感を生むことができる」と強調した。

 最後にフーン氏は、「ネットにより旅行が価格重視に傾いているが、もっとブランドを構築していくことが大事なのでは」と提言。会場からあがった「欧州大手LCCのライアンエアー(FR)が異業種と独占的な提携をし、デジタルマーケティングに力を入れていることをどう思うか」という質問に対しては、柴田氏が「LCCとOTAもウェブサイトやソーシャルメディアなどを活用し、情報を共有して露出を増やすなど、パートナーシップを築いていける」と回答した。ペラー氏は「LCCとのパートナーシップで長所を持ち寄り、競合することで最終的に利用者へメリットをもたらすことができれば」と理想を語った。


取材:竹内加恵