OTA、LCCとの関係強化を要望‐CAPA国際会議

ともに成長著しいOTAとLCC
パートナーシップ強化で旅のブランド力向上を

LCCのさらなる需要拡大に期待

DeNAトラベルの中村氏  トークセッションでは、OTAがLCCの現状をどう捉えているかについて、パネリストが意見交換。共通する意見として、LCCの利用者の大半は18歳から35歳までのいわゆる「ミレニアル世代」である点を指摘するコメントがあった。ミレニアル世代は1980年から2003年までに生まれた、子供の頃からインターネットやパソコンを利用している「デジタルネイティブ」だ。

 親会社がゲーム会社であるDeNAトラベルの中村純氏は、「ゲームのユーザーを旅行に誘導できるのでは」というフーン氏の問いに対し、「ゲームの中核利用者は20代の女性という分析が出ているが、OTAの利用者も同世代が主流と感じている」とコメント。これを受け、パネリストからは「ミレニアル世代の新しいトラベラーが出てきている」「リアル店舗からOTAへの変化を実感する」という声が挙がった。

 Booking.comのデイビッド・ペラー氏はLCCの需要について、「既存のFSCでも、消費者には最初はポピュラーなニューヨーク/ボストン線が売れたが、次第に新しい路線が求められるようになっていった」と述べ、LCCについても同様の成長を予測。また、「LCCは出張から家族旅行まで多様な使い方ができ、今後も需要の拡大が期待できる」とも語った。

Booking.comのペラー氏  中村氏は「従来は、航空券は往復で買うものだったが、LCCの登場で購入形態のバリエーションが増えた」と説明。LCCの航空券を片道だけ購入し、最適な時間や料金、ブランドなどを比べて帰りは別のLCCを使える手軽さがあることを述べ、「予約には複雑さも伴うが、そこを補えるのがOTA」と、OTAの役割を強調した。

 日本市場については、ペラー氏が「旅行会社が強く、FSCの座席は今も多くがパッケージツアーを通して販売されている」とコメント。「今後もOTAがオフラインの旅行会社を淘汰していくことはないのでは」との見方を示しながらも、モバイル端末の利用者が増え、コミュニケーション方法が変化しつつあることから、旅行の予約方法にも変化が訪れている旨を語った。中村氏も「日本でもミレニアル世代が、LCCをネットで購入する流れを感じている」と話した。