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海外旅行はリピーター減、若年層の取り込み強化を-JTB総研セミナー(1)

  • 2014年10月2日

海外旅行は不振、国内は堅調
団塊世代のピークは終了、若者や一人旅に注目を

一人旅が増加傾向に、FIT化や早期予約の動きも

セミナーには多くの業界関係者が参加した  旅行市場の動向については、黒須氏は一人旅の増加に注目。2010年から前年を上回り続けており、特にシニア層では12年、13年で夫婦での旅行から一人旅への旅行へのシフトが顕著に見られるといい、「世代的な変化の影響があるようだ」と語った。

 また、一人旅の増加とともにFIT層も増加しており、一人旅の8割以上がFIT層だと説明。JTB総合研究所で観光目的の海外旅行の旅行形態の推移を調べたところ、12年のフルパッケージとフリープランの利用者は、60%を超えていたが、13年は50%台の前半まで落ち込んだ。特にフリープランはほぼ横ばいに推移したが、フルパッケージは約30%から約25%に減少したという。

 さらに、FIT層の増加に伴い、予約の早期化も進んでいると指摘。出発から2ヶ月以上前に予約する旅行者は、12年は40%強だったところ13年は約45%に上昇しており、3ヶ月以上前の予約者も12年は20%未満だったが13年は20%を超えたことを言及した。

 黒須氏は、こうした早期化の流れはオンライン予約の容易化や早期割引導入など、旅行会社やサプライヤー側の戦略が影響した結果との考えを示した。予約のオンライン化については、1年以上前からオンラインで手軽に予約できるようになったことなどの利便性の向上もあり、定期的に旅行をする消費者を中心に早期予約の割合が徐々に増えているという。

 さらに、人々の働き方の変化など、消費者側の変化も影響していると分析。女性の就業率の上昇や転職の一般化などの就労環境の変化で「休み方や雇われる立場の(会社との)距離感の置き方が変わってきている」と語った。計画的に休暇をとるなど、休暇取得のトレンドにも変化が生まれてきていることから、「一人旅、FITのオンライン早期予約の増加といった市場変化に関しては、世の中の変化を先読みした戦略が必要」と示唆した。