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海外旅行はリピーター減、若年層の取り込み強化を-JTB総研セミナー(1)

  • 2014年10月2日

海外旅行は不振、国内は堅調
団塊世代のピークは終了、若者や一人旅に注目を

団塊世代に停滞感、若年層は回復の動き、将来に向けた投資を

海外旅行の回復が望まれるところ(写真は9月26日朝の羽田国際線ターミナル)  また、黒須氏は海外旅行の年齢別傾向についても言及した。シニア層については14年に入り需要に「若干の足踏みがある」と説明。団塊の世代、特に狭義の団塊世代と捉える1947年から49年生まれで、現在60代後半の人々の需要が年々減少しており「すでにピークの時期は過ぎた」と見方を示した。

 このため、黒須氏は「シニア市場戦略の総点検が必要ではないか」と提案。シニア市場全体については、高齢化社会によるシニア層の増加などから「まだ拡大の余地はある」とし、「ターゲットにしているシニア市場は会社や事業によって異なる。自身のターゲットとしているセグメント層を一度点検してみても良いのでは」と話した。

 その一方、若年層は増加傾向にあるといい、JTB総合研究所調査の海外旅行経験回数が1回から5回の旅行者における年代別比較で、13年で前年を上回ったセグメントは20代男女のみだったことを紹介。12年から13年にかけて、20代男は50万人弱から60万人強に、20代女は60万人強から70万人を超えるまで成長を遂げる結果となった。

 また、法務省の「出入国管理統計」、総務省の「人口統計」に基づき同研究所が算出した出国率を見ても、15歳から19歳、20歳から24歳で、2011年以降過去最高比率を上回る結果が出ている。黒須氏は同世代が海外旅行を経験するチャンスは昔より今のほうが高まっているとし、将来の市場と位置づけた投資の意味も含め、若者層への取り組み強化の必要性を語った。

 さらに、住友生命保険相互会社が今年8月に実施した「自分への投資」アンケートの結果を引用。アンケートの「自己投資の対象」「支出額でみたトップ」「支出を増やしたい」の3項目全てで「旅行」がトップとなった。この結果を踏まえ、黒須氏は「旅行に行くことは自己投資の意味があると考えているのでは」と話すとともに、「(消費者が)旅行の持っている幅広い可能性に改めて気づいており、その筆頭が若年層」と示唆。「若年層の取り込みはもっと本気でやる必要がある」と参加者に強く訴えた。