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クローズアップ:震災で注目高まる環境エネルギー、デンマークの視察旅行

  • 2012年4月25日

原発事故後、環境エネルギーの活用に注目
多様な素材をもつデンマークへの視察旅行の可能性

デンマークは環境エネルギー活用のモデル国と位置づけ

ステイト・オブ・グリーン代表のフィン・モーテンセン氏  デンマークの環境分野での強みとしては、インフラの整った小国であるという点をあげる。国内の移動が簡単で、例えばコペンハーゲンからは、風力発電やバイオガス、バイオマス、廃棄物管理、水を使った環境ソリューションなどの見学が、車で1時間圏内で可能だ。モーテンセン氏は、視察旅行先としてヨーロッパをはじめ国際的な競合が沢山あるが、「例えばドイツは企業が多く、人口もデンマークの10倍だが、視察先が広範囲に点在するため多くの地域を訪れなければならない。これに対し、コペンハーゲンでは1日でまわることができる」と強みを語った。

 デンマークでは1970年代から風力発電など再利用可能なエネルギーを積極的に利用し、環境保護のための規制方針なども確立している。2012年春に発表したエネルギー戦略では、2020年までにエネルギー産業での化石燃料の利用を35%削減し、2050年までに再生可能エネルギーへと転換する目標を設定。さらに2020年までに温室効果ガスの排出量を1990年レベルから40%削減するほか、現在21%の風力発電のシェアを50%に引き上げることをめざしている。

 モーテンセン氏は、デンマークは豊富なソリューションを提供できる環境エネルギー活用のモデル国として位置づけることが可能とし、「風力発電など、環境エネルギーの導入を検討する国にアイディアを提供することができる」と提案した。


日本企業や政府関係者が視察で訪問

 日本人の視察旅行の場合は企業と、政治家や官公庁、地方自治体などがそれぞれ半分を占める。企業の場合は1泊から2泊と短期の滞在であることが多く、デンマークのほかドイツ、英国など他国とあわせて訪問する。一方、政治家や官公庁、地方自治体の場合は、例えば国会議員が省エネに関する視察団として来訪する場合、2日以上滞在し、滞在中は実証プラントを訪れたり、デンマークのエネルギー庁の関係者とのミーティングなどを実施している。

 モーテンセン氏によると、日本企業や政治関係者に人気が高いトピックは、エネルギーの効率化に関する視察先だ。例えば家庭内での省エネ対策については、デンマークでは3層構造の窓や、壁面緑化などがあり、日本人の関心も高い。

 また、農場でのバイオガスの活用法やバイオマスの利用法に興味を持つ日本人も多い。例えば、収穫されたトウモロコシは飼料とするが、残留物である茎や葉は燃料にもできる。このほか、風力発電や太陽光発電などのソリューションの視察も可能だ。

 加えて、日本人の注目が高いのが「地域冷暖房」だ。発電所などエネルギー供給設備からパイプをひき、熱湯や冷水を全世帯に供給し、家の冷暖房に活用するというもの。たとえば暖房の場合、その源となる熱湯は、発電所で電力を生み出す際に発生する多量の熱を利用して、ボイラーで湯を沸かす。コペンハーゲンでは約50万人が地域暖房を利用し、夏場もオフィス街やデパートなどで地域冷房を活用しているという。