Travel Crossover Magazine

趣味

秘境温泉の魅力とは?温泉ソムリエがおすすめする秘湯を10ヶ所紹介

人里離れた秘境にある温泉は、人が訪れることが少なく、いつもとは違った雰囲気で非日常体験を味わいたい人にぴったりです。

そこで本記事では、温泉ソムリエである筆者がおすすめする秘境温泉を10ヶ所紹介します。日本三大秘湯とされる温泉地はもちろん、秘境に行くのは初めてという人にもおすすめな温泉地も紹介するので、目的に合わせてご参考いただければ幸いです。

秘境温泉(秘湯)の定義

「秘境温泉」とは、車や電車でアクセスしにくい穴場のような場所にある温泉を指し、「秘湯」とも呼ばれます。山間部や離島など、自然豊かな場所にある場合が多く、周囲に人工物が少なく自然との調和が強調されやすいため、秘められた雰囲気を持っています。

「秘湯」という言葉は、株式会社朝日旅行の前身、株式会社朝日旅行会の創業者・故岩木一二三氏が1975年につくったとされる造語です。岩木氏は、旅を通して温泉本来の魅力を伝えたいと考えたことから「日本秘湯を守る会」も立ち上げています。

秘境にある温泉の魅力

秘境にある温泉の多くは、人里離れた山奥や渓谷、海辺など、手つかずの大自然の中に位置しています。時には険しい山道や細い道を抜ける必要があるため、人気のリゾート地や温泉街に比べて所要時間は増えますが、目的地に向かう道中の景観も楽しめるのが秘境にある温泉旅行の魅力です。

秘湯は一般的に、アクセスの難しさから観光客の数が少なく、静かな環境が保たれています。静けさの中で自然と一体化するような感覚を味わいながら入浴すれば、これまで感じたことのない癒やしを体感できるでしょう。

また、多くの秘境温泉は歴史ある宿や地元の人々が守り続けている場所が多く、建物の風情や土地ごとの文化を楽しめるのも魅力です。さらに秘境にある温泉は、その多くが自然そのままの源泉かけ流しのスタイルで提供されているため、鉱物成分豊富な肌や体にうれしい効果をもたらすお湯に浸かれます。

秘境温泉を目指す際の注意点

多くの魅力を持つ秘境の温泉ですが、訪れる際に注意すべきポイントがいくつかあります。ここでは秘境温泉を目指す際の注意点を紹介しますので、訪問する前に確認しておきましょう。

アクセス方法を確認する

秘境の温泉地は山間部や人里離れた場所にあることが多く、公共交通機関がない場合もあります。車やバスでの移動が必要な場合は、道が狭かったり未舗装の道が続いたりすることも多いので、事前にアクセス方法や周辺の交通情報をしっかり調べておくと良いでしょう。

また、GPSが届かない場所ではカーナビやスマートフォンの地図が使えないこともあるため、地図を用意しておくと安心です。

天候や季節を確認する

秘境の温泉は自然の中にあるため、天候や季節によってはアクセスが困難になることがあります。特に冬季は雪や凍結により道路が閉鎖されることもあるので、必ず事前に天候や車両規制の有無などを確認しておきましょう。

中には周囲が通行止めになるため冬季の営業をしない施設もあるので、目的地の宿に事前に問い合わせておくと安心です。

必要な持ち物を準備する

秘境にある温泉施設は、設備がシンプルな場合が多く、アメニティが限られていることも。基本的な入浴用品(タオル、シャンプー、石けん)は持参したほうが良いでしょう。

また、秘境の温泉は自然の中にあり虫が多いため、虫除け対策をしておくと快適です。登山ルートなどに行く際は登山靴などの適切な格好で向かい、雨具や防寒具、懐中電灯なども用意しておきましょう。

現地のルールを守る

秘境の温泉を訪れる際は、貴重な自然環境を守るため、地元のルールやマナーを厳守することが大切です。施設によっては水着を着用して入浴したり、石鹸やシャンプー類の使用が禁止されていたりするなど、特有のルールが指定されていることがあります。必ず現地ルールを確認し、指示に従うようにしてください。

日本三大秘湯と呼ばれる秘境の温泉宿

日本三大秘湯とは、秘湯の中でも特に有名な3つの秘湯である「青森県・谷地温泉」「徳島県・祖谷温泉」「北海道・ニセコ薬師温泉」を指します。まずはこの日本三大秘湯について、紹介します。

【青森】谷地温泉|温度の異なる2種類のお湯が特徴

青森県十和田市の八甲田山中にある谷地温泉は、開湯から400年以上の長い歴史をもつ湯治宿です。一番の特徴は「上の湯」と「下の湯」の2種類の温度が異なるお湯を楽しめること。「上の湯」は硫黄の湯花で白濁した42℃のお湯で、打たせ湯なども楽しめます。「下の湯」は足下からポコポコと湧き出る約38℃のぬるめのお湯で、長湯が好きな人に人気のお湯です。どちらのお湯も神経痛などを和らげる効能があります。

初めて谷地温泉に行く場合は「下の湯」で30分程度体を温めた後、「上の湯」に入るのがおすすめです。じんわりと体の芯から温まり、体調を整えられる入浴が堪能できるでしょう。冬には野生の「テン(イタチの仲間)」が遊びに来る場合があることでも知られており、食事処からその姿を見ることができるかもしれません。

谷地温泉

【住所】青森県十和田市法量谷地1
【電話番号】0176-74-1181
【アクセス】
JR青森駅よりJRバス十和田湖行き利用100分、谷地温泉下車徒歩5分
東北自動車道 黒石ICより国道102号線・394号線・103号線経由、谷地温泉へ
【チェックイン・チェックアウト時間】15:00〜17:00 / 10:00
【支払い方法】現金・クレジットカード可
【公式Webサイト】https://www.yachionsen.com/

【徳島】祖谷温泉|祖谷渓の美しい景観にある一軒宿

徳島県三好市の祖谷温泉は、祖谷渓の美しい景観にある隠れた一軒宿です。祖谷渓谷一帯は古くから温泉が湧出しており、平家が源氏との戦いに敗れ身を隠すために入山した際、祖谷温泉を見つけて湯治したという言い伝えも残っています。

170メートル下の谷底にある2つの露天風呂へは、専用のケーブルカーで下ります。川のせせらぎを聞きながら浸かる湯船で、日々の疲れを癒やせることでしょう。泉質はまろやかなアルカリ性単純硫黄温泉で、源泉かけ流しで楽しめますよ。湯舟には白い湯の花が浮き、白濁しているのが源泉の証拠です。毛穴の汚れを取り除き、肌をクリアにしてくれる効果もあります。2つの露天風呂は男女日替わり制となっているので、1泊の滞在でどちらも楽しめるのもうれしいポイントです。

祖谷温泉

【住所】徳島県三好市池田町松尾松本367-28
【電話番号】0883-75-2311
【アクセス】
JR阿波池田駅から四国交通バス出合経由かずら橋行きで55分、バス停:祖谷温泉前下車、徒歩すぐ
徳島道井川池田ICから国道32号経由25km
【チェックイン・チェックアウト時間】15:00〜19:00 / 11:00
【支払い方法】現金・クレジットカード・QRコード決済可
【公式Webサイト】https://www.iyaonsen.co.jp/
【SNSアカウント】
https://x.com/Hotel_Iyaonsen
https://www.instagram.com/hotel_iyaonsen/

【北海道】ニセコ薬師温泉|2014年に閉館した山奥にある源泉かけ流しの温泉宿

北海道蘭越町日出のニセコ薬師温泉は、源泉掛け流しのお風呂が人気の温泉旅館でしたが、建物の老朽化を理由に2014年5月に閉館しました。温泉は現在も湧出していますが、今は建物がなく浴槽のみ残っている状況で、再開の目処は立っていないため、今では幻の秘湯と化しています。

営業していた当時はにごり湯、透明湯、露天風呂の3つがあり、いずれも浴槽の下からお湯が湧き出す源泉かけ流しでした。お湯に鉄分が多く含まれており、色がよく変化することから「七変化の湯」とも呼ばれていたようです。浸かってから数分で皮膚に炭酸の泡が付着し、血流促進の効果が期待できることでも知られていました。

ニセコ薬師温泉

【住所】北海道磯谷郡蘭越町日の出370
【アクセス】函館本線昆布駅から車で約15分

温泉好きから人気の高い秘境温泉

続いて、温泉好きなら一度は訪れたいと言われる、人気の高い秘境温泉を3つ紹介します。

【栃木】奥鬼怒温泉|東京の奥座敷の最奥部

栃木県日光市の奥鬼怒温泉は、加仁湯、手白沢温泉、日光沢温泉、八丁の湯で構成されている温泉地で、「関東最後の秘湯」とも呼ばれています。4つの温泉はそれぞれ泉質が異なり、豊富な湯量が魅力です。敷地内には林道がありますが、一般車の乗り入れはできないため、1時間の徒歩か予約制の専用バスに乗る必要があります。

4つの温泉の中でも特に人気なのが「加仁湯」です。混浴の露天風呂や女性限定の露天風呂、宿泊者が使える貸切風呂など敷地内に5つの温泉が点在しており、湯めぐりが楽しめます。主な泉質は肌がツルツルになる硫黄泉で、弱酸性のため肌が弱い方でも安心です。

奥鬼怒温泉 加仁湯

【住所】栃木県日光市川俣871
【電話番号】0288-96-0311
【アクセス】
東武鬼怒川線 鬼怒川温泉駅より日光市営バス川俣・女夫渕温泉行き利用終点下車、ここから山道を徒歩で(混雑回避のため、宿泊者のみ送迎あり)
今市ICから鬼怒川温泉~川治ダムコース(国道121号線利用) → 女夫渕
【チェックイン・チェックアウト時間】12:30〜18:00 / 10:00
【公式Webサイト】http://www.naf.co.jp/kaniyu/

【群馬】法師温泉|湯殿は国有形文化財に指定

群馬県の「法師温泉 長寿館」は、1875年に開業した国立公園内にある温泉地です。1895年(明治28年)に建てられたモダンな建築が特徴で、湯殿「法師乃湯」は国登録有形文化財に指定されています。足元から湧き出る温泉はカルシウムとナトリウムを含む硫酸塩泉で、胃腸病ややけどに適したお湯です。

施設内には、趣が異なる3種類の湯殿があります。100年以上の歴史がある「法師乃湯」は静かで落ち着いた雰囲気が特徴で、夜は神秘的な空間に。全ヒノキ造りの「玉城乃湯」は景色が美しく、川の近くにある「長寿乃湯」は温泉の質にこだわりがある人におすすめです。

法師温泉 長寿館

【住所】群馬県利根郡みなかみ町永井650
【電話番号】0278-66-0005
【アクセス】
JR上毛高原駅よりバス利用、猿ヶ京終点下車(35分)
関越自動車道 月夜野ICより国道17号を新潟方面へ40分
【チェックイン・チェックアウト時間】15:00 / 10:30
【公式Webサイト】http://www.hoshi-onsen.com/index.html

【長野】白骨温泉|ぬるぬるしたミルク色のお湯が特徴

長野県松本市の白骨温泉は、鎌倉時代に発見された歴史ある名湯が楽しめる温泉地です。小説「大菩薩峠」の中で紹介されて以降、「白骨(しらほね)」の名が使われるようになったと言われています。ミルク色でぬるぬるとした感触が特徴のお湯にはカルシウムやマグネシウムが含まれており、胃腸病や婦人病に効果的。通常、ミルク色のお湯は強い酸性を示しますが、白骨温泉の湯は弱酸性なのが珍しい点と言えるでしょう。

現在は十数軒の宿が点在しており、中でもおすすめなのが「泡の湯旅館」の大露天風呂「泡の湯」です。毎分1,730Lの豊富な湯量と希少な炭酸温泉が自慢の施設で、空気に触れると透明からクリーム色に変わる幻想的なお湯が楽しめます。

白骨温泉 泡の湯旅館

【住所】長野県松本市安曇白骨4181
【電話番号】0263-93-2101
【アクセス】
松本電鉄上高地線新島々駅下車松電バス白骨温泉行で泡の湯下車すぐ
長野道松本ICからR158経由、約1時間、東海北陸道飛騨清見ICからR158経由、約2時間
【チェックイン・チェックアウト時間】15:00 / 10:00
【公式Webサイト】https://www.awanoyu-ryokan.com/

初心者にもおすすめの秘境温泉

最後に、初心者でも比較的訪れやすい秘境温泉を紹介します。

【青森】黄金崎不老ふ死温泉|鉄分を含んだ泉質と日本海の絶景が魅力

青森県深浦町の黄金崎不老ふ死温泉は、世界自然遺産で有名な白神山地の麓にある温泉です。「ここで養生すれば、老いたり弱ったりしない」という言い伝えが「不老ふ死」の由来と言われているそう。日本海の波打ち際に設けられた露天風呂の景観が美しく、海との一体感を感じながら入浴することが可能です。泉質は炭酸水素イオンが含まれる塩化物強塩泉で、美肌の湯とも言われています。

黄金崎不老ふ死温泉へは、JR五能線のウェスパ椿山駅から運行する送迎バスが利用可能。秘境へ赴くのに慣れていない人でも、簡単にアクセスできるのがうれしいポイントです。

黄金崎不老ふ死温泉

【住所】青森県西津軽郡深浦町艫作下清滝15
【電話番号】0173-74-3500
【アクセス】
JR五能線 艫作駅より徒歩15分(送迎あり、要予約)
東北自動車道 浪岡ICより国道101号線をひたすら西へ。
【チェックイン・チェックアウト時間】14:00 / 10:00
【公式Webサイト】https://www.furofushi.com

【秋田】乳頭温泉郷|1日で7つの湯めぐりが可能

秋田県仙北市の乳頭温泉郷には、源泉の異なる7つの温泉宿があり、1日ですべての湯をめぐることも可能です。昭和レトロな雰囲気が特徴の乳頭温泉郷は、350年以上の長い歴史があり、江戸時代には湯治場として利用されていたという記録が残っています。

1つのエリアで湯めぐりを楽しめるので、秘境初心者でも訪れやすく、好みの泉質や景観を見つけやすいのがうれしいポイント。宿泊者向けに、7つの湯に自由に入れる「湯めぐり帖」というサービスがあるので、ぜひ利用すると良いでしょう。アクセスはJR秋田新幹線からバスで約50分、田沢湖駅からバスで約40分です。

乳頭温泉郷

【住所】秋田県仙北市田沢湖
【アクセス】秋田新幹線からバスで約50分、田沢湖駅からバスで約40分
【公式Webサイト】http://www.nyuto-onsenkyo.com/

【群馬】万座温泉|クリーム色の硫黄泉が特徴

群馬県の万座温泉は、標高1,800メートルの山々から湧き出るクリーム色のお湯が特徴の温泉地です。万座温泉に湧く硫黄泉には、化粧水にも使われるメタケイ酸が多く含まれており、入浴するだけでクリアな肌が維持できます。そのほか20種類以上の源泉があるため、さまざまな泉質・効能を楽しめるのも魅力です。

万座温泉へは、「万座・鹿沢口駅」からバスに乗り約40分でアクセスできます。新宿駅から直通の往復バスも出ているため、都内からでも訪れやすいでしょう。

万座温泉

【住所】群馬県吾妻郡嬬恋村干俣万座温泉
【アクセス】万座・鹿沢口駅からバスで40分
【公式Webサイト】http://www.manzaonsen.gr.jp/index.php

【群馬】宝川温泉|巨岩を生かした露天風呂が自慢

群馬県北部にある宝川温泉は、宝川のほとりにある温泉で、4種類の源泉を引く秘湯です。巨大な岩を活かしたダイナミックな露天風呂など、開放感のある4つの露天風呂があり、すべて源泉かけ流しで楽しめます。中でも、「摩訶の湯」と呼ばれる120畳の広さを誇る露天風呂は、自然に溶け込むような設計をしており、圧巻の景色が魅力。泉質は無色透明な単純温泉で、捻挫や筋肉痛の緩和に効果的なお湯です。

宝川温泉へは、「上毛高原駅」または「みなかみ駅」から運行する無料送迎バスでアクセスできます。東京から車で約2時間半の距離にあるため、日帰りも可能です。

宝川温泉 汪泉閣

【住所】群馬県利根郡みなかみ町藤原1899
【電話番号】0278-75-2611
【アクセス】関越自動車道水上インターより 国道291号 県道水上片品線を片品・藤原・宝川方面18㎞
【チェックイン・チェックアウト時間】14:00 / 10:00
【公式Webサイト】https://www.takaragawa.com/

秘境の温泉地でいつもと一味違った癒やしを満喫しよう

秘境の温泉地では、アクセスが困難な山奥や海辺ならではの大自然の癒やしを感じられます。秘境でしか味わえない雰囲気を堪能し、存分にリフレッシュしましょう。

初めて秘境の温泉地を訪れる人は、送迎バスがあるなど、アクセスのしやすい初心者向けの秘湯を選ぶのもおすすめです。秘湯へ行く際は事前の準備や調査をしっかりと行い、計画的に楽しんでくださいね。

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
AREC(アレク)

YouTubeでも活動しているクリエイティブ精神豊富なフリーライター。SEOライティング、取材ライティング、写真・動画撮影、動画編集等をメインに活動中。温泉ソムリエの資格を持っており、各地の温泉地や観光地、カフェ巡りが趣味です。フリーになる前は広告代理店にいたので、紙媒体の取り扱いにも慣れています。

  1. 神奈川観光で外せないスポット&グルメ21選!各名所の魅力を紹介

  2. グランキューブ大阪周辺のおすすめホテル10選!選び方のコツも紹介

  3. 春休みの子連れ旅行おすすめスポット12選!選び方のポイントも紹介

RELATED

PAGE TOP