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訪日ハイエンド獲得のカギは専門性と口コミ、世界に遅れず国境再開をーKANAZAWA TOURS マイク・キーナン氏

  • 2022年4月20日

西洋的視点のガイドトレーニングで富裕層を囲い込む
訪日旅行者に「ポストコロナの旅行スタイル」はない?

-コロナ禍で新たにチャレンジしたことはありますか。

キーナン 九谷焼や加賀友禅を用いた小物など、金沢の伝統工芸品の販売を始めました。旅行事業の顧客であるハイエンド層は高級品との親和性が高く、10万円以上の商品も販売しています。国際物流が止まるなどの苦労もありましたし、高価な商品なので売れるまでに時間もかかりますが、その分マージンも大きく、第2の収入源を立ち上げることに成功しました。

-インバウンド旅行の復活の兆しは感じていますか。

キーナン 今は冷静にパターンを観察しています。予約が入っては取り直しになるという波で、季節ごとにたくさんの予約が入るものの、「今年の春は無理だろう」「秋は無理だろう」と実現していません。まるでグラウンドホッグデー(※編集部注:春の訪れを予想する天気占いの行事)のように、目が覚めても何も起こらず、またじっと待ち続ける毎日です。

 ヨーロッパは前進し、アメリカは前進しています。アジアも前進しましたが、日本はまだです。楽観的になるのは難しいですね。

-ポストコロナでインバウンド旅行者のスタイルに変化はあると思いますか。

キーナン それはないと思います。日本が再び開国する頃には、アメリカ人もヨーロッパ人もかつての生活に戻っているのに、日本だけが「皆これを気にしている」という考えから抜け出せなくなっているのではないでしょうか。

 私のクライアントは通常6ヶ月から9ヶ月かけてプランを準備します。もし日本の国境が開かれていないなら、少なくとも1年はかかるでしょう 。私は今と違うことをするべきだとは思いませんし、違うことをしようとすると、多くの時間とお金を無駄にすることになると思います。 日本に来ようと動き出す準備ができている人にとって、衛生基準などが一番の関心事ではないはずです。

-金沢のお気に入りの場所を教えてください。

キーナン 金沢は日本の中でも文化的なランドマークなので、どこが特別に好きというよりも、金沢全体が大好きです。金沢には欧米の旅行者が求めるものがすべてあります。歴史が深く文化が保存されており、街のあちこちでそれを見たり、体験できる芸術として楽しむことができる。そして私にとっては、日本を知りたいと思っている人が金沢にいること、それがすべてです。

-読者へメッセージをお願いいたします。

キーナン 「踏みとどまりましょう(hold tight)」。これからはもっといい日々になるはずです。多くの人々が制限から開放され始めています。1日も早く「予約し直す」パターンが止まり、人々が日本に到着する姿を見ることを望んでいます。観光産業は長い間苦しみに打ちのめされてきましたが、遠くない将来変化が訪れるはずです。しっかりと踏みとどまっていれば、きっと良い日がやってきます。

-ありがとうございました。