itt TOKYO2024

【コラム】「オフサイトミーティング」市場の可能性

  • 2021年8月27日

 コロナにより、在宅勤務を選択されている企業は多く、先進的な企業では居住地の自由やワーケーションを認めるところも出てきています。

 在宅勤務はコロナ感染の抑制はもちろん、通勤に要する時間やコスト、ストレスを軽減することとなり、基本的にはプラス面が多く、コロナ後も一定の割合で残り、定着するものと思われます。

 遠隔地居住やワーケーションに関しても、実現できる人の数は限られるでしょうが、大都市への集中緩和にも繋がりますし、何よりライフスタイルの選択肢が増えることは歓迎すべきことかと思います。また、出社人数が減れば従来のオフィススペースは不要となり、家賃や光熱費の削減も可能となり、企業側のメリットも有ります。

 一方、在宅やワーケーションが増える事により、メンバー間のリアルコミュニケーションは難しくなり、オフィススペースを縮小した企業においては、寄り集まる場所の確保さえ難しいケースも出てくるでしょう。

 コミュニケーション不足を補う手段として、既に広く使われているZoom等の活用、更には「文字(ライティング)」による、同タイミングでの時間拘束を伴わない(非同期型)でのコミュニケーションへの移行が模索され、遠からずコミュニケーション不足による不都合の大部分は解消されていくのだと思われます。

 しかし、どこまで行っても、膝を突き合わせ、口角泡を飛ばし(今は駄目ですが…)トコトン議論する事が必要な場面は必ず残ります。特に、少人数のグループで厄介だけど重要なテーマや定性的な結論=コンセンサスを形成するための議論などです。そういうものをオフサイトミーティングに置き換えることにより、非日常空間にて、原則時間の制約を受けず、適時リフレッシュの為のアクティビティを挟み、テーマと関係の無い話をする時間も持てると共に、創造性を発揮し、議論の生産性を高め、結果よりよい結論に辿り着くのに有効だと、実体験も踏まえ感じています。

 ワーケーションはある意味「一人合宿」でも有り、場所を何処にするか、余暇をどう過ごすかは自分で決めるのが一番です。一方、オフサイトミーティングは複数人数での文字通り「合宿」であり、参加者の居住地や全体予算、目的に合った会議室や設備、参加される方の構成を踏まえた適切なリフレッシュイベント等々、誰かがプロデュースする必要が有ります。またそういうものこそ、その土地ならではの特色を活用するノウハウを活かせる機会でもあるのではないでしょうか。

 全国の旅行会社・宿泊事業者・DMOや行政の皆さん、企画を持ち寄り多様なニーズに答えられる「ワーケーションプラン」のプラットフォームを作る等、ぜひアイデアをコメントまたは編集部宛にご意見お寄せください!

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​