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現地レポート:カンボジア、増えるアンコール・ワット以外の魅力

  • 2016年6月28日

各地で観光素材の整備が進行
新たなターゲットの可能性も

カンボジアに“ビーチリゾート”
期待が寄せられるシアヌークビル

開発が進む今、シアヌークビルのビーチは繁華なエリアと静かなエリアに分けられている  もうひとつ、シェムリアップから足を延ばしてカンボジア旅行に組み合わせたいものとして、カンボジアでは唯一のビーチリゾートのシアヌークビルがある。シェムリアップからはベトナム航空(VN)が出資するカンボジア・アンコール航空(K6)で1時間のフライト。以前からバックパッカーを中心に若い層に人気を博してきたが、近年の政府主導「Hotel Accommodation Restaurant Casino Resort Project」により、年々様変わりしている。

これから公園としての整備が始まるオートレス地区。かなり様相が変わるだろう  特に若者に人気のあるビーチ沿いのオートレス地区は、違法にビーチ上に建てられたレストランなどは一掃される予定で、ビーチ沿いのメインストリートを挟んで向かい側に立ち並ぶ小さなブティックホテルが“ビーチフロント”ということになる。一部に花々や植え込みもある散策路も完成しており、これまでの雑多なイメージから、こぢんまりとしたきれいなリゾートへと変貌を遂げる日も近い。

ロシア人夫妻の経営による「White Hotel」。規模は小さいが、食事に地元の無農薬野菜を使用するなど、宿泊者の健康や環境に配慮している  通り沿いのブティックホテルはほとんどが欧米人の経営であり、それぞれユニークな魅力を競い合う。どれも小規模ゆえ、団体旅行には向かないが、カップルや子連れなどのんびりとビーチを楽しみたい向きにも勧めることができ、新たなターゲットにアピールすることができそうだ。たとえばハネムーナーにシェムリアップとシアヌークビルのブティックホテルステイをおすすめするなど、新たな企画に役立てたい。

 近年カンボジアには急激に新たな外国資本が流入し、これまでになかった高級感、隠れ家的で洗練された施設が増えている。一方、これまでは外国資本であったホテルが現地資本に変わり、雰囲気やサービスの質が下がったという声も聞く。旅先として定着してきたカンボジアは今、良くも悪くも変わっていく過渡期にある。ホテル、レストラン、過ごし方のチョイスが増え、ターゲット層も広がっているため、現地をウォッチしなおすのもいいかもしれない。


全日空がプノンペンに就航
ベトナム航空も注目度アップに期待

VN機(写真はA350-800型機)  カンボジアのフラッグ・キャリアであるカンボジア・アンコール航空(K6)に出資し、その設立にも大きな協力をしているベトナム航空(VN)。これまでもカンボジアへの送客に力を入れてきたが、9月にNHが成田/プノンペン線に就航したあとはどのような見通しを持っているのだろうか。

 また、これまでは日本からシェムリアップへの渡航者の9割が、乗り継ぎが最も便利なVNを利用してきたが、これからはNHでプノンペンに飛び、シェムリアップやシアヌークビルへと乗り継ぐことも可能になる。VNはこのほど、そのNHとの業務提携を発表しているが、今後の送客戦略に変化があるのだろうか。

 VNプロダクトマネージャーの木間政浩氏は、ビジネス利用が多いと目されるNHの成田/プノンペン線と、VNのベトナム/シェムリアップ線は客層が異なり、競合することはないとし、「カンボジアが注目されるという点では、相乗効果があってむしろいいのでは」と期待する。実際のところ、直接プノンペンまで行ったとしても、乗り継ぎでK6やほかのLCCを利用しなくてはならないため、すぐにシェアを下げることはなさそうだ。また、現在の日本路線の好調を受けてVNは、大型機材のエアバスA350-900型機の投入も視野に入れているといい、座席の供給にも余裕ができてくるだろう。

取材協力:ベトナム航空
取材:岩佐史絵