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インタビュー:JTBトラベランド経営企画部経営企画専任部長 北山幹夫氏

  • 2009年6月16日
インターネット販売に「最強の店頭営業」への転換で対応
IT活用も強化、クロスチャネルもキーワードに


 店頭販売に特化した旅行会社として、46都道府県に420店舗という日本最多の店舗ネットワークを持つJTBトラベランド。オンライン販売が増加する現状下でJTBグループがウェブ事業を強化していく中、どのように店頭販売に取り組んでいくのか。2009年度から2011年度の3ヶ年の新中期経営計画に基づく施策をスタートした、同社の経営企画部経営企画専任部長である北山幹夫氏に話を聞いた。



−2006年からの中期経営計画の成果はどうでしたか。そこから見えた課題があったのでしょうか

北山幹夫氏(以下、敬称略) 2006年度から2008年度の中期経営計画では、業務効率化のための電子カルテシステムを稼働させるなど、“しくみ”中心の改革をしました。さらに、“人”の部分として、企業側の「販売代理」でなく顧客の立場にたって販売する中間業者「ニューミドルマン」を意識して、お客様の立場に立った対応という考え方を打ち出しました。その結果、しくみの点では、2008年10月に電子カルテシステム「Times」を全店で稼働することができました。一方、ソフト部分については「ニューミドルマン」の概念が社員に伝わり切らなかった。そこで、もっと各店舗に響くような目標設定のために、2007年秋に「ヴィジョン2011」とする社内プロジェクトを立ち上げました。2011年が創業40周年にあたり、新たな経営計画がスタートする年なのです。そこで新しいトラベランドとしてどうあるべきかを、全国から公募し、現場スタッフからトップまで参加して話しあいました。

 その中で出てきたキーワードが「人」と「IT」でした。JTBグループ内にi.JTB(アイドットジェイティービー)というインターネット販売の専門会社があることもあって、トラベランドはウェブサイトの活用に積極的ではありませんでしたが、今では避けて通れません。トラベランド流のIT活用をしていかないといけないという意見から、今回、ITも新中期経営計画のキーワードになりました。


−新しい中期経営計画の目標について教えてください

北山 2009年度からの3ヶ年で「最強の店舗営業」をめざします。「人」と「IT」と「店」の3つそれぞれを強化することによって達成できると考えています。トラベランドの強みは旅行業者として日本で一番多い店舗数と人ですが、規模のナンバー1ではなく、営業力の強い会社にしたいというメッセージを込めています。

 さらに基本方針として、「旅のスタイリスト」という考え方を提唱しました。これは、例えば、お客様が100を望んでいたら100以上を提供するという概念です。いわれたことだけをやるなら、インターネット販売に勝てない。お客様も気づいていない潜在的なニーズを引き出して提供し、「ここに頼んでよかった」と思ってもらいたい。最後は、お客様のことを知ろうとする接客側の意欲や努力、気持ちの問題になります。スタイリストがこの人にはこんなファッションがいい、と提案していくのと同様に、お客様の知らない情報を出してあげるイメージです。この「旅のスタイリスト」は5段階の社内認定制度として制定しました。現場の研修ではお客様に対するチェックリストを作り、ロールプレイング、eラーニングなどのツールを現在開発しています。


−目標達成に向けた具体的な取り組みはありますか

北山 「旅のスタイリスト」のベースになるものとして、経営理念に基づいた「トラベランド・クレド(3つの約束)」を作りました。お客様の感動体験をお手伝いする、地域社会への貢献、社員としての喜びと誇りといった、お客様、社会、社員同士に対する約束が書かれています。接客で迷ったときに立ち返る行動規範となるものです。さらにIT活用の一環として、4月にホームページをリニューアルしました。20代から30代までの女性に親近感をもってもらえる作りを意識し、女性スタッフの意見を取り入れて新キャラクター「とらベルくん」を作成したほか、スタッフへのアンケートによるプロの視点のランキング「旅のランキング研究所」など、46都道府県を網羅する420店舗ならではの情報網がお客様の参考になると思います。


−店舗展開における目標値はあるのでしょうか

北山 スクラップアンドビルドで、いい物件があれば進出しますが、役目を終えた店舗は早めに閉めています。厳しい環境の中、現在の420店舗という数はピークに近いと考えており、大幅な増加は期待できません。店舗数を目標にすると、数ありきになってしまうので、そうはしたくない。実際には、2008年度末には417店舗で前年と比べて14店増えています。数としては店舗を持つ旅行会社で最多ですが、店舗数で勝負する必要性もないと考えています。


−オンライン販売が増えている中、今後、業界がどのように変化していくと予測していますか。また、その中でどう取り組んでいくのでしょうか

北山 私見も含めた意見ですが、オンライン販売は増えても減ることはないと認識しています。今後、店頭販売は全体の60%から80%に減るというJTBグループによる分析、推計も出ています。人口が増えない以上、オンライン販売が増えれば店頭が減る。しかし、店頭販売が減ってもその中でのシェアを多く取れば生き残れると思っています。シェア獲得は体力勝負になると思いますし、お客様から支持されなければ淘汰されると認識しています。

 店頭販売に特化するトラベランドとしてITを活用していきますが、最終的に人で勝負することは変わりありません。これまでも3年間で500人から600人がヨーロッパ研修旅行に行くなど、人材への投資をしてきました。お客様に支持されるかどうかは、人が育つことにかかっていると考えています。


−JTBグループではウェブを成長分野と位置付け、そのクロスチャネルとして店舗販売を組みあわせていきたいとしています

北山 お客様は何か買いたいとき、インターネットで検索し、商品を絞ります。そのままインターネットで買う場合もありますが、旅行商品は高額なためクレジット決済が怖いという人が結構多い。店頭でいろいろ話を聞きながら申し込みたいというニーズが高いのです。今増えているのは、インターネットで予約した後に来店するパターンです。支払い店舗を画面で選んで店頭に来る。一方、店にパンフレット取りに来て、家で検討した後、ネットで申し込む人もいます。店頭と電話販売とネット予約がクロスチャネルで相互に行ったり来たりできるのが、JTBグループの強みです。


―ありがとうございました


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