ANA、AIRDOとソラシドエアを完全子会社化へ 27年4月目指す、将来はブランド統合も視野
ANAホールディングス(ANAHD)は10月29日、AIRDOとソラシドエアを傘下に持つリージョナルプラスウイングス(RPW)を株式交換により完全子会社化することに向け、同社と基本合意書を締結したと発表した。2026年12月下旬の株式交換契約締結、2027年4月1日の完全子会社化を目指す。当面はAIRDOとソラシドエアのブランドを維持するが、事業計画や収入管理、調達などの機能統合を進め、中期的にはANAブランドへの統合も視野に検討する。
今回の基本合意は、国内航空事業の収益力回復と地域航空ネットワークの維持・発展が狙い。RPWは2022年10月に設立された共同持株会社で、北海道発着路線を中心に展開するAIRDOと、九州・沖縄発着路線を中心とするソラシドエアを完全子会社としている。ANAHDは現在、RPWの普通株式の15.32%を保有している。
ANAグループはAIRDOと2002年から、ソラシドエアの前身であるスカイネットアジア航空とは2005年から業務提携を開始。ANA便との共同運航(コードシェア)による販売連携に加え、航空機や燃油の調達支援、業務受委託などで協力関係を深めてきた。
一方、各社が独立した事業主体として運営されている現状では、競争上機微な情報の共有や路線・ダイヤ・販売戦略などに関する一体的な経営判断に制約があり、経営資源を十分に活用できていなかったという。
国内航空市場を巡っては、オンライン会議の普及に伴うビジネス需要の減少や人口減少、人材不足が課題となっている。航空機の調達、部品、整備などの費用も高騰しており、環境対応や機材更新、DXへの投資負担も増加。こうした環境変化を踏まえ、国土交通省は2026年5月、大手航空会社による特定既存航空会社への出資規制を廃止した。
ANAHDは同月25日、RPWに対して完全子会社化に関する意向表明書を提出。その後の協議を経て、従来の資本・業務提携関係を超えて経営資源を一体的に活用することが、双方の企業価値向上につながるとの認識で一致した。
当面は2ブランド維持、収入管理や調達などを統合
完全子会社化が実現した場合、まずはAIRDOとソラシドエアのブランドを維持しながら、事業計画の策定、収入管理、調達、施設構築・維持管理などの分野で連携・機能統合を進める。ANAグループのネットワークと、両社が持つ地域路線網の接続強化による利便性向上も図る。
さらに、中期的にはANAブランドへの統合も検討する。ただし、両社が培ってきたブランド価値や地域社会との関係、安全運航や事業運営への影響、利用者や従業員、地域関係者への影響などを総合的に判断するとしており、現時点で統合時期や具体的な方法は決まっていない。
今回の株式交換ではANAHDが完全親会社、RPWが完全子会社となる予定。株式交換契約は2026年12月下旬に締結し、RPWの臨時株主総会・種類株主総会で2027年2月下旬に承認を得たうえで、同年4月1日の効力発生を目指す。
株式交換比率などの取引条件は、第三者算定機関による株式価値の算定結果や統合効果などを踏まえて今後決定する。両社はそれぞれ独立した算定機関を選任しており、RPW側では少数株主の利益保護に向けた特別委員会も設置している。
なお、今回締結した基本合意書は一部条項を除いて法的拘束力を持たず、株式交換の実施には最終契約の締結や必要な機関承認、競争法などの手続きが必要となる。ANAHDは正式な株式交換契約の締結を決定した段階で、改めて詳細を公表する方針だ。

