[ラトビア視察レポート]世界遺産リーガから森・海・湖へ 伝統の暮らしとウェルネスを巡る
東部:アール・ヌーヴォーの邸宅と大聖堂、リーガで伝統的なサウナ“ピルツ”体験
翌朝は、車で約45分、野生のブルーベリーやキノコも生えるティルムニーキの湿原散策の後、ルバーンス湖畔で湖魚を獲り、燻製の製造と民宿を営む漁師の家で地元の味を試食。午前中だがすごい量の燻製やカナッペ、そしてスズキに似た白身の川魚の丸焼きまで出た。全般にラトビアでのおもてなしは、手間も心もこもっており、料理の量は毎回すごい。
地元産業視察で飼料・食品用の農業ファーム(穀物工場)に立ち寄った後、マルナヴァにある“家のレストラン”という自宅の敷地内で家庭料理を提供する「ズィーレス」にてランチ。ポテトなどと焼き上げた骨付き豚肉のローストがほろほろでとてもおいしい。息子さんはリーガでミシュランの星付きレストランを営むという。ミシュラン星付きシェフの母の味だ。
「ルヅァ工芸センター」で、伝統の民族衣装を着付け体験。リネンやウールの重ね着に冠やネックレス、マント留めなど装飾品もつけて本格的である。レーゼクネに移動、ハーブ入りのチーズなどを作る地元ホームビジネスの見学の後、その名も「We Know Rezekne」というレストランで夕食。水餃子のようなペルメニは、バルト三国や東欧でも広く見られる料理。あっさりしたチキンスープでおいしい。豚肉ローストのベリーソースなども。
宿泊は、レゼクネの「ルーズナヴァ・マナー」に隣接するサウナ体験のできる「スヴィルパウニエキ」で。乾・湿サウナは別棟で、池に入ってクールダウンも。ジャグジーもあってくつろげる。
翌朝は、ルーズナヴァ・マナーを見学。20世紀初頭に建てられたアール・ヌーヴォー様式の邸宅だが、現在、現代文化や芸術センターとしての役割もあり、地下にはこの地の歴史などをインタラクティブに展示するコーナーもある。宿泊用の部屋もある。
さらに南に車で約40分、アンドルペネの「農家野外博物館」では、メープルの葉で包んで焼いた天然酵母ライ麦パンを持ち帰ることができる。敷地内には、20世紀初頭の伝統的な家屋が家具なども当時のまま保存されていて、天井から下がる揺りかごを揺らしながら子守唄を歌ってくれたり、素朴な暮らしぶりが伺えて楽しい。入場料4ユーロ。
ラトガレ地方の最後の立ち寄りポイントは「アグロナ大聖堂」。60メートルもある2つの尖塔を持つ、後期バロック様式のバシリカである。広大な敷地には、聖なる湖があってラトビアにおけるカトリックの中心的存在である。1993年には、当時のローマ教皇であるヨハネ・パウロ2世がここでミサを捧げ、大聖堂の前の広場が信者で埋め尽くされたという。聖母マリアを祀っており、主祭壇にはアグロナ聖母の絵画(イコン)が飾られているが金の衝立で覆われていて、毎年8月15日の聖母マリア被昇天の祝日など特別な祝祭日にのみ姿を見ることができるというのも神秘的だ。
ここでラトガレ地方に別れを告げて、首都リーガに戻る(車で約3時間40分)。最終日、新市街で宿泊したのは「グランド・ポエト・ホテル&スパ」、旧市街にも徒歩で行ける好立地な5つ星ホテルでバスタブ付きの部屋もある。サウナとプールも整っている。
リーガでの最後のアクティビティは、車で30分ほどの北部チュクルカンスにある「ラトビアン・サウナ・リチュアル」での伝統的サウナ「ピルツ」の体験である。単なるサウナではなく、メープルや柳など植物の束(ウィスク)を使って体をさすったり叩いたり、自分で選んだハーブでスクラブなどもしながら心身を整え浄化するウェルネスなプログラムである。充実した約3.5時間のセッションは300ユーロから。
世界遺産リーガの建築群は見事だが、郊外の自然と伝統に根ざした暮らしぶりや野外博物館での昔の展示がとても印象に残った。物価は日本並みで、おもてなしも温かく、手作りのチーズやパン、食も日本人の口に合う。リーガから地方へ足を延ばす旅行商品がもっと登場してくれることを願った旅だった。
取材協力/ラトビア政府観光局
取材・文 小野アムスデン道子





