TAT、日本市場を再強化 日・タイ修好140周年で「ありがとうマンス」構想
タイ国政府観光庁(TAT)は、2027年の日・タイ修好140周年を契機に、日本市場へのプロモーションを強化する。ターパニー・キアットパイブーン総裁がツーリズムEXPOジャパン2026で明らかにした。2027年9月には、日本人旅行者を対象に各種特典などを提供する「ありがとうマンス」を展開する構想で、日本の旅行会社や航空会社、タイのホテルなどとの連携も強める。
TATはツーリズムEXPOジャパン2026で、「Healing is the New Luxury」をコンセプトに、ウェルネスや文化、食、地域体験などを訴求した。ターパニー総裁は、日本市場について、継続する円安が日本人の海外旅行を抑制しているとの認識を示したほか、タイバーツも高い水準にあると指摘。「日本のお客様がタイで使う1バーツ、1バーツに、本当に価値があると感じていただけるようにしたい」と述べ、タイ国内の観光業界とも協力し、旅行者が価格面でメリットを実感できる施策を進める考えを示した。
その一環として、10月から日本国内の旅行会社、タイのホテル、日タイ両国の航空会社などと共同でプロモーションを展開する。価格面でのお得感を打ち出すほか、2027年1月からは文化、食、ヘルス&ウェルネス、祭り、コミュニティ・ベースド・ツーリズムなどをテーマに、新たな観光ルートの開発を進める。
さらに2027年は日・タイ修好140周年に当たることから、日本人旅行者の誘致に向けた記念プロモーションやイベントを企画し、順次発表していく方針。ターパニー総裁は、日本国内で開催されるタイフェスティバルについても、規模を拡大するとともに、コンテンツを充実させる考えを示した。
なかでも日本市場向けの施策として検討しているのが、2027年9月の「ありがとうマンス」だ。現時点では具体的な内容は決まっていないものの、日本のパスポートを持つ旅行者を対象に、期間中に各種特典を提供することを想定している。過去のキャンペーンでは、ラウンジ利用やマッサージなどの特典を提供した例があり、同様に旅行者が現地でメリットを感じられる仕組みを検討していく。
航空アクセスについては、日本とタイを結ぶ定期直行便の供給がコロナ禍前の水準まで完全には戻っていないとの認識も示した。東京や大阪、福岡、札幌など直行便がある都市だけでなく、仙台や広島をはじめとする地方都市から、他都市・第三国を経由してタイを訪れる旅行需要にも注目する。
ターパニー総裁は、こうした地方発需要について「経由便を活用した観光商品をエージェントと一緒につくっていきたい」と強調した。直行便の復便だけを待つのではなく、既存の航空ネットワークを組み合わせ、これまでタイへのアクセスが容易ではなかった地域からの需要を開拓する考えだ。
また、今回のツーリズムEXPOジャパンでは、ブータンとの共同キャンペーン「HEALING & HAPPINESS: Discover a Better You」も発表した。「Two Kingdoms, One Destination」の考え方のもと、一度の旅行でタイとブータンの双方を訪れる旅行を提案するもので、日本で世界に先駆けて披露した。
ターパニー総裁によると、日本を最初の市場とした背景には、ブータンへの航空アクセスでバンコク経由が重要な役割を担っていることに加え、ブータンが持つ自然や文化、静かな滞在といった旅行素材が日本人旅行者との親和性が高いとの判断がある。タイを単独のデスティネーションとして販売するだけでなく、第三国との組み合わせによって新たな旅行商品を創出する狙いもある。
通年での需要創出にも力を入れる。マラソンなどのスポーツイベントをはじめ、文化や食、ウェルネスなど年間を通じたイベントを充実させることで、日本人旅行者の訪タイ時期の分散につなげる。食についても、既に日本で知られているタイ料理だけでなく、北部、南部、東北部、中部など地域ごとの料理を、その歴史や食材、健康との関係まで含めて紹介していく考えを示した。
日本人の海外旅行市場が円安や旅行費用の上昇という逆風を受けるなか、TATは単なる観光地の認知拡大から一歩進み、価格メリットの創出、地方発の商品造成、地域・テーマの多様化を組み合わせて需要回復を図る。140周年となる2027年に向け、日本の旅行会社が具体的に販売できる商品や支援策をどこまで形にできるかが焦点となりそうだ。

