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国土交通省港湾局長 稲田雅裕氏

  • 2024年1月8日

 年頭にあたり、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。平素より、港湾行政の推進にあたり、格別のご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。また、国民の命と暮らしを守り、我が国の経済活動を支えるため、献身的に職務を遂行されている港湾関係者の皆様に、重ねて敬意と感謝を申し上げます。

 昨年末、港湾分野における地域からのご要望を盛り込んだ令和5年度補正予算が成立するとともに、令和6年度当初予算が閣議決定されたところです。税制改正につきましても、要望していた特例措置の延長等が認められました。関係者の皆様のご支援、ご協力に改めて深謝する次第です。

 社会全体をみると、コロナ禍で浮き彫りとなったサプライチェーンの脆弱性、トラックドライバーの労働力不足が懸念される物流の2024年問題、資源やエネルギーの安定供給、デジタル化、脱炭素社会の実現、激甚化する自然災害への対応、地域の活性化など課題が多岐にわたっております。港湾局という組織をとおして、これらの社会課題を港湾の視点から解決に導けるよう取組んでいきたいと考えております。

2.内航フェリー・RORO船ターミナルの機能強化
 物流の2024年問題等への対応として、昨年10月に決定された物流革新緊急パッケージにおいて、内航フェリー・RORO船等の輸送量・輸送分担率を今後10年程度で倍増する目標が定められたところです。港湾局としても、船舶大型化等に対応した岸壁整備や、荷役効率化に向けたターミナルの管理システムの整備などの内航フェリー・RORO船ターミナルの機能強化を推進し、関係部局とも連携し、物流の2024年問題等に対応してまいります。

3.港湾におけるDXの推進
 港湾の競争力強化にも資する港湾におけるDXを加速するため、「ヒトを支援するAIターミナル」の社会実装や、さらなる深化のための荷役機械の高度化等の技術開発を推進します。また、サイバーポートについて、港湾管理分野の運用を本年1月より順次開始し、物流分野・インフラ分野との一体運用を推進します。このような取組により蓄積された情報を、整備の現場でのi-ConstructionやBIM/CIMと有機的に連携させることにより、建設現場での生産性向上、働き方改革、災害時の早期対応などに貢献していきたいと考えております。

5.国民の安全・安心の確保
 我が国では高潮・高波・地震等による被害が近年も発生していること、巨大地震・津波の発生や気候変動に伴う台風強大化等が危惧されていることを受けて、昨年7月に交通政策審議会から「気候変動等を考慮した臨海部の強靱化のあり方」を答申いただきました。これを踏まえ、気候変動に適応していくための官民協働での高潮・高波対策や、そのための技術基準の改訂、切迫する地震・津波対策など、防災・減災、国土強靱化を引き続き推進してまいります。

 また、昨年7月、名古屋港のコンテナターミナルへのサイバー攻撃によるシステム障害により物流に大きな混乱が生じた事案を踏まえ、港湾機能が安定的に提供されるよう、その情報セキュリティ対策の強化を図ってまいります。

6.クルーズ再興に向けた訪日クルーズ本格回復への取組
 昨年3月、コロナ禍で停止していた我が国での国際クルーズが本格的に再開し、令和5年の寄港回数はコロナ前ピークの約6割まで回復しました。引き続き、各地の皆様と連携し、クルーズ船の受入環境整備や寄港促進に向けた取組、地域経済効果を最大化させるための取組、地方誘客促進に向けた取組を推進し、経済の活性化や賑わいの創出に努めてまいります。

7.個性をいかした地域づくりと分散型くにづくり
 港湾は、地域の雇用と経済を支え、産業の国際競争力を向上させる重要なインフラです。国際バルク戦略港湾をはじめとする民間投資の誘発や、集積した産業の効率化に資する港湾の整備を重点的に推進してまいります。

 また、「みなと」を核とした賑わいの創出により、地域の活性化や人々の交流を促進し、また、来訪される方が地域の魅力を体験し発信して頂けるような環境整備等に、地域の皆様とともに積極的に取組んでまいります。加えて、新たに導入された「みなと緑地PPP」制度を活用し、民間事業者と連携した魅力的な港湾空間の形成に取組んでまいります。

 最後に、本年も港湾行政へのより一層のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様方にとりまして、素晴らしい一年なりますことを心より祈念し、年頭のご挨拶とさせていただきます。

※一部抜粋