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「何のために」「どれだけ」? 値上げを実現する3つの方向性と8つの手法-亜欧堂 堀口洋明氏

  • 2022年9月20日

 コロナ禍も落ち着きを見せつつあり、全国旅行支援の実施や入国制限撤廃が検討されるなど、やっと明るい兆しが見えてきています。一方でこれまでの赤字解消や借り入れ返済、歴史的な円安などを原因としたコスト増加、慢性的な要員不足を考えると、値上げして収益を拡大する必要性を強く感じている人も多いのではないでしょうか。

 しかし、単に「値上げ」と言っても話し合っている人同士の議論が噛み合っていないこともしばしば。そこでこのコラムでは「値上げ」を引き上げの「程度」とそれを達成する「方法」に分解しホテルを例に整理します。

値上げの程度はどのくらい?

 さて、一口に「値上げ」と言ってもそれはどのくらいでしょうか。目立つことのない1%を上げるのでしょうか? それとも思い切って物価高に対応できるくらい20%上げるのでしょうか? 値上げの程度はその目的によって変わってきます。

 目的は大きく2つに分かれます。

1. 利益が増えればいい
2. 赤字を解消したい

少しだけでも利益が増えればいいということであれば、目立たない程度に引き上げればいいでしょう。赤字を解消したいということであれば、赤字の程度によっては大きく引き上げる必要が出てきます。人手不足によって販売できる数に制限が出てきているのであればそれも考慮する必要があります。つまり、きちんと収支をシミュレーションするべきなのです。

 試しに100室の宿泊特化型ホテルで、スタッフ確保の為に20%の人件費上昇を叶えるという前提(販売室数や他のコストは現状のまま)で試算してみたところ、客室平均単価(ADR)は 2.8%UPで目標利益であるGOPが維持できそうです。あるいはGOPを20%UPさせるにはADR 12.1%UPでOKです。

 現実には各種コストの上昇や、単価を上げる分、販売数の減少も考慮する必要があります。ぜひ皆さんのホテルの実績値をもとに試算してください。

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