急激な経済成長を迎えながらも、昔ながらの街並みを保ち続けるアイルランドの街々。それぞれに違った魅力があり、周辺の観光名所への基点としてだけでなく、それぞれの街歩きも、おすすめの楽しみ方です。


首都であり、全人口の4分の1が住むというアイルランドきっての規模を誇るダブリン。パブやレストランの数も多く、またショッピングも充実した都会的な雰囲気でありながら、ジョージア建築の立ち並ぶ地区や公園などが点在し、観光地のほとんどが歩いて回れる散策にも適した美しい都市です。
路面電車やバスといった交通手段があり、一人で歩き回るのにも向いています。季節を問わず多くの人が訪れる活気に満ち溢れた大都会です。

アイルランド最高学府。市内の中心部に位置しているため、ショッピングなどの途中で立ち寄ることも可能。世界最古の書物のひとつで8世紀に作られた聖書の装飾写本『ケルズの書』、奥行きが65メートルもあるロングルームと呼ばれる旧図書館にはおよそ20万冊もの古書籍が収められています。

アイルランドの守護聖人である聖パトリックを祀るプロテスタント教会で、常に観光客でにぎわっています。教会の司祭であり作家でもあったジョナサン・スウィフトの墓やデスマスクを見ることができます。

ギネスビールの歴史や製造過程を模型やビジュアルを使って学ぶことができ、最後にダブリン市内を360度一望するグラビティ・バーでできたてのギネスを飲むことができます。ギネス・ストアハウス入場者にはうれしい1パイント無料サービスも。

ダブリン市内観光の助けになるのが、観光用巡回バス「ダブリン・ホップオン・ホップオフ」。観光スポット付近19箇所にバス停が設置してあり、1時間15分で市内を一周します。
ダブルデッカーの2階の一部分は屋根がなく、天気のいい日はとても快適。景色を眺めながらまずは1周してみれば、土地勘がついて観光しやすくなるでしょう。このバスの特徴は何度でも乗り降り自由なこと。自分のペースで周遊できるので、FITの旅行者には最適です。



同じアイルランド島内でも、北アイルランドに位置する都市は英国領。北アイルランドへのゲートウェイとして栄えるベルファストは、アイルランドの首都ダブリンとは違う雰囲気を持っています。
ベルファストは北アイルランドの首都で、かつては造船業で栄えたことでよく知られています。近年は景気のよさを受け、トレンディでおしゃれなレストランやショップ、ホテルなどが一気に増え、再び活気を取り戻してぜひ訪れてみたい魅力溢れる都市になりました。世界遺産のジャイアンツ・コーズウェイやブッシュミルズ蒸留所といった観光地への旅の起点にもなる都市です。

プライベートガイドと行く自分だけのツアー

自分のペースで興味のある場所を効率よく観て回るのなら、6~7人乗りのタクシーを利用するブラックキャブ・ツアーがいいでしょう。人数や時間で料金が違い、地理や歴史に詳しい地元のドライバーによるガイドで市内だけでなく、ジャイアンツ・コーズウェイなどへ案内してもらうことができます。
また、自分でコースを決めることもでき、ベルファストの名所をブラックキャブで巡れば、旅のよいアクセントに。その他、自転車でベルファスト市内を観光するサイクリングツアーなどがあります。

タイタニック誕生の地に新名所誕生

悲劇の豪華客船「タイタニック号」が建造された造船所近くにできた「タイタニック・クオーター」は、今やベルファストの新しい「顔」。もっともトレンディなレストランやバー、ショップなどを備えた一大複合施設です。
2009年にはタイタニック博物館も完成予定。近代的なウォーターフロントでのアクティビティはベルファストのイメージを一新することでしょう。


ダブリンに次いで活気があり、比較的温暖な気候で過ごしやすい都市です。人々はダブリンとはまた違った気質で誇り高く、独特な文化を持っているのが特徴。
付近にはヨーロッパでも有数のグルメ・タウンとして知られる港町キンセールや、キスすると雄弁になれるという石があるブラーニー城、タイタニック号最後の寄港地コーブなどがあり、1日観光ができる名所に事欠きません。
また、海辺の景色が美しいリゾートも至近なため、アイルランド人にとっても憧れのバケーション・スポットとなっています。

映画『ライアンの娘』の撮影地として知られる、美しく壮大な自然とそこにたたずむ遺跡が幻想的なヨーロッパ最西端の半島です。今でも日常的にゲール語が話されるゲールタクトの村があり、自然と文化の混在したアイルランドらしい魅力に溢れています。ディングル湾内にはイルカが住んでおり、ドルフィン・ウォッチングのツアーも人気があります。

タイタニック号が最後に寄港したことで知られる小さな港町。港には当時の木造の桟橋の一部が残され、待合所だった建物はレストランとして経営を続けています。
地元のガイドによるタイタニック・ストーリーツアーは人気のアクティビティ。地元ならではの臨場感溢れるお話を聞きながら小高い丘の上に建つ聖コルマン大聖堂まで登り、カラフルな町並みを一望します。


西部アイルランドの中心となる都市であり、オイスターフェスティバルやアートフェスティバルなど注目度の高い興味深いイベントが数多く開催され、小さいながらも活気のある街。西部地方の独自文化がよく現れており、よりのんびりした印象を感じることができます。
アラン島やコネマラ国立公園へのゲートウェイとして、また、コーク空港からアイルランド入りしてバレンやモハーの断崖をたどりゴールウェイへ、というコースも要領よく見どころが押さえられるのでおすすめ。石畳の小道などが残されたのどかな港町は、西部を楽しむための旅の基点に最適です。

数あるアイルランドの島々の中でもっとも有名、かつ人気のある諸島です。石積みの塀がまるでレース織りのように島内を縦横無尽に広がり、荒涼としていながらのどかで牧歌的なイメージでもあり、独特な雰囲気。ドゥーン・エンガスと呼ばれる大西洋の断崖絶壁の淵に造られた先史時代からの遺跡も残り、見どころが満載です。
対岸の港町ロッサヴィールやドゥーリンの他、2008年の夏からはゴールウェイからの直行フェリーで約1時間。日帰りの観光で訪れる人も多い観光地です。

氷河で削られた渓谷や湖の織り成す不思議な自然景観が魅力のコネマラ国立公園。公園内は泥炭地の上を歩けるような木道や石畳などよく整備されていて、レベルに合わせたウォーキングを楽しむことができます。
公園内の最高峰ダイヤモンド山への登頂は往復で約3時間。頂上まで登ると、遠くの沿岸部まで見渡すことができる絶景が広がります。また8月は、ヒースが大地を紫色に染め、特におすすめです。
付近はゲールタクトで、散歩に訪れる地元の人々の話すゲール語が聞かれることもあり、これもまた楽しい体験でしょう。