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このところ世界のショービジネス界をにぎわせている、アイルランドのアーティストたち。知名度も高く、世界的な人気を誇っています。口頭伝承から始まった文学や音楽など、ほかに類を見ないすばらしい文化が、アイルランドにはあるのです。
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ウィリアム・バトラー・イエーツ、ジョージ・バーナード・ショウ、サミュエル・ベケット、シェイマス・ヒーニー。この著名な4人のノーベル文学賞受賞作家たちは、すべてアイルランド人です。また、『ユリシーズ』のジェイムス・ジョイスや『ナルニア国物語』のC.S.ルイス、『ガリバー旅行記』のジョナサン・スウィフト、『幸福の王子』のオスカー・ワイルドなどは日本でもおなじみ。
アイルランドは伝統的に文豪が多く、突出した文学の国として知られているのです。また、シアターが多く、上演される演目も多岐にわたっており、特にダブリン、ベルファストやコークといった都市部での文化的生活度の高さは世界で評価されています。作家の軌跡をたどり、夜はシアターで観劇といった、文学にスポットを当てた企画もおもしろそうです。 |
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「フィドル」と呼ばれるバイオリンの奏でる伝統的なアイリッシュ・ミュージックからU2やエンヤに代表される現代ポップスまで、世界中から大きな支持を受けているミュージシャンが、アイルランドには多数。日本のテレビコマーシャルでもよく採用されているので、それと知らなくても「聴いたことがある!」という人も多いでしょう。
また、アイルランドのダンスも音楽と同じように人気が高く、「リバーダンス」は伝統的なアイリッシュダンスを現代風にアレンジしてあり、とても豪華でエキサイティング。ブロードウェイをはじめ海外からの呼び声も高い一大エンターテインメントです。 |
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アイルランドの工芸品としてよく知られる漁師のセーター「アラン・セーター」。油分を含む羊毛でそれぞれの漁師の家族に代々伝わる紋様が編み込まれています。荒海で働く人々のセーターなので、暖かいことはもちろん、ちょっとの雨などははじいてしまうという優れものです。
また、ツイードの質の良さにも定評があります。北部ドネゴールのツイードが特に有名で、時間があればオーダーメイドのジャケットなどを作るのも楽しみのひとつになるでしょう。ほかに、精巧な技術がすばらしいウォーターフォードのクリスタル、愛と忠誠をあらわしたロマンチックなデザインのクラダ・リングなど、アイルランドならではの工芸品が多数あります。 |
アイルランドを代表する歌姫、エンヤ。その静かで澄んだ調べは、彼女の出身地であるドネゴールの豊かな自然を髣髴とさせます。
そんな彼女の実家は、パブ。アイルランドのパブといえば、ミュージシャンたちがセッションを行い、訪れるお客を楽しませるのが伝統です。エンヤのお父さんは経営者というだけでなく、自身もミュージシャンとして演奏しており、娘が世界的に有名になった今も変わらぬ気さくさでフロアに出ているのだそうです。有名人の父親だからといって気負わない、そんな気安さもアイリッシュ気質なのでしょう。 |

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アイルランドのレストランやパブでは、よくミュージシャンによるセッションが行われます。このセッションはとても伝統的なもので、まだラジオなどもない時代にパブで演奏される音楽が放浪のミュージシャンの手によってまた別なパブで演奏され、全土に広がっていったのです。 現代においてもミュージシャンたちは伝統に則っており、レストランやパブへ出かけると観客の中から放浪のミュージシャンが進み出てセッションに加わる様子を見ることができるでしょう。興が乗ればフォークダンスを踊る人も出てくるので、まさに生のアイリッシュ・カルチャーを体験することができます。 |
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客席に座ったまま観るだけなんて物足りない! という人たちは、さまざまなイベントへ出かけるのがおすすめです。
音楽好きにはタンバリンの親分のような楽器、バウロンの世界大会(6月)やアイルランド伝統音楽祭のフラー・キヨールフェスティバル(8月)があり(フラーはアイルランド語でフェスティバルの意味)、また、これらをアイリッシュ・ダンスのサマースクールと組み合わせるのもおもしろそうです。ほかに、オールド・ブッシュミルズ蒸留所ウィスキーメイキング400周年記念のイベントや、全土を自転車が疾走する自転車レース(8月)、アイルランド産の牡蠣を思う存分楽しめるゴールウェイ・オイスターフェスティバル(9月下旬)など、どんな人にもアピールできるイベントが盛りだくさんです。 |
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アイルランド文学の傑作が出来上がった背景には、多分に作家の故郷や住んでいた場所が影響しています。文学に興味のある方は、イエーツの故郷スライゴー、聖職者でもあったスウィフトの墓がある聖パトリック教会など作家にゆかりのある地を訪れ、さらにアイルランド文学への興味を喚起するのもよいでしょう。
また、ジェイムス・ジョイスによる『ユリシーズ』の舞台ダブリンを、主人公レオポルド・ブルームの足跡をたどりながら観光したり、ピュリッツァー賞を受賞した『アンジェラの灰』の舞台リムリックが作品中のイメージと現代とでどのように変化したかを見て回るといった、文学の世界を体験できるアイルランドならではのプランがおすすめです。 |
アイルランドの代表的な飲み物といえば、黒ビール。アイルランドでは有名なギネスのほかに、コーク周辺で人気のマーフィーズやビーミッシュといった、地域に根付いたさまざまなブランドの黒ビールが楽しめます。真っ黒な液体に白くてクリーミーな泡がのったその姿を見るだけで心躍るのに、実はこれ、「身体にいい飲み物」でもあるのです。
黒ビールには鉄分やミネラルが豊富に含まれており、貧血の人はもちろん、産後や場合によっては妊娠中の女性でも栄養分を補うために飲むことを薦められることがあるとか。現代では足りない栄養はサプリメントで補えるので、妊婦に黒ビールを薦める医者はいないでしょうが、同じ飲むならちょっと健康を気遣うつもりで黒ビールを選ぶのはよいアイデアかもしれません。とはいえ、飲みすぎては意味がないのでご注意を! |
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