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【現地レポート:スイス】コロナ禍の生活とスイスからの旅行の実情

  • 2021年1月17日
オペラハウス前の広場ゼクセロイテンプラッツ。通常であれば年末にかけてクリスマスマーケットで賑わいをみせる広場も、昨年はマーケットが中止になり巨大なクリスマスツリーが一本あるのみ。

 スイスも隣国の欧州各国同様に、現在新型コロナウイルス感染の第2波真っ只中。国や各州が求める規制に基づいての生活が強いられています。年末から1月22日までの間、飲食店、スポーツ施設、映画館や美術館などの文化・レジャー施設の閉鎖が決定し、現在半ロックダウン状態です。感染状況の改善が芳しくないため、この規制が2月末まで延長される話も出てきました。小売業店舗が通常通り営業している点(時短あり)、移動規制が出ていない点などでは、隣国に比べると比較的まだ自由度が高い規制ではありますが、頻繁に変わる規制を把握するのに気が抜けない日々です。

 私は、以前トラベルビジョンに在籍しており、スイス人との結婚を機にチューリヒでの生活を始めました。今年で在スイス歴11年目に突入。現在、小学生2児の母でもあります。トラベルビジョン在籍中は、取材先やプロモーションのお手伝いなどで沢山の旅行業界の皆様にお世話になりました。

 今年は4回に渡って、スイスのコロナ禍の現状をレポートする予定です。第1回目の今回は、現在のコロナ禍の生活状況や、私の身の回り経験を基にしたスイスからの旅行の実情をお届けします。(文・写真 高橋絵美)

※この記事は1月8日の情報を基に執筆しています。

目抜き通りバーンホフシュトラッセ付近。冬セール中の現在。規制が厳しくなった今でも、週末は多くの人で賑わっています。

コロナ渦での生活変化

 昨年3月からの第1波により、生活においても様々な変化が出てきました。挨拶の時にする握手やチークキスをする習慣がなくなり、1.5から2メートルの社会的距離が推奨され、入店の際の手の消毒や、お店のレジやカウンターにはクリアパネルが設置されました。カフェやレストランなどの飲食店では、着席時に名前と連絡先の登録をしなくてはならず、メニューも各自のスマートフォンからQRコードを読み取り閲覧するところも増えてきています。

 マスクも7月から公共交通機関乗車時においての着用が義務化され、10月中旬からはその対象範囲が拡大となり、今となってはほぼ全ての公共の場(野外の公園などは除く)においてマスクを着用しなくてはならなくなりました(12歳以上)。違反した場合は、300スイスフラン(約3万5000円)の罰金が課せられます。今となっては全世界的に当たり前のことであっても、コロナ前の生活と比べると大きく変化しています。

レストランでもテーブル間の十分な距離が保てない場合、クリアパネルを設置しています。
入店人数制限があるので、店舗の前にはこのような表示が設置されています。緑の場合は、入店可。人数制限が厳しくなると、赤の「入店不可」表示も頻繁になり店舗の前に並んで待つ人の姿も多く見られます。合わせて、マスク着用義務の案内も。

旅行に意欲的なスイスの人たち
実情とは?

 このように厳しい状況が続くスイスですが、スイス在住の人たちの旅行への意欲は消えていません。移動規制さえ発令されていなければ、「休みが取れたら、どこへ行こう?」と考えるのは普通のことで、このコロナ禍でも「休暇=旅行」の方程式は崩れていない風潮です。もちろんリスクを考え、スイス国内から出ないという選択をする人が増えているのは事実です。ただ、ここでのリスクというのは、「感染リスク」の他に、「隔離リスク」という意味も含まれます。

 スイスから他国へ旅行をしたいと考えた場合、確認しなくてはいけないのが「(1)旅行先の国や地域の受け入れ状況」と「(2)スイスでの検疫措置(自己隔離)が必要となる国や地域のリスト」です。(1)は、感染の状況を考慮し、その国がスイスからの旅行者を受け入れているのかということ。(2)は、旅行してスイスに帰ってきた際に、10日間の自己隔離が必要になる国か地域かということ。この情報を知らずに旅行をしてしまうと、帰ってきてから仕事や学校に行くことができず、隔離生活を送らなくてはいけないので常に注意が必要です。違反すると、罰金最大10,000スイスフラン(約117万円)が課せられます。また、この(2)の国や地域のリストは頻繁に改訂されるので、旅行先を前もって決めていても、直前になって予定していた国がこのリストに載り、行けなくなってしまったという話もよく聞きます。

秋休み中のチューリヒ空港の出発ターミナルの様子。チェックイン前の人が大勢。

 第2波が始まる前の10月初旬は「秋休み」という2週間の学校の休暇があり、多くの人が旅行を計画していました。この時、第2波が始まる兆しから、周辺の国々や地域が次々と⑵の自己隔離リストに載り始めました。その際に、イタリアのヴェネト州とトスカーナ州がまだこのリストに載っていなかった残り少ない隣国の地域であったため、スイスから多くの人が集中してこの地域を訪れました。

 ヴェネト州はこの秋休みの期間中にリスト入りをしてしまったので、休みの後半にヴェネチアへの旅行を予定していた人はキャンセルせざるを得ない人も多かったようです。このリスクを回避するために、移動手段をなるべく車での移動にする話もよく聞きます。旅行中に自分の滞在先リスト入りすることになったとしても、発表から施行前に車であれば急遽スイスへ戻ることも可能だからです。

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