【現地レポート:スイス】コロナ禍の生活とスイスからの旅行の実情

  • 2021年1月17日

旅行予約と同時に、PCR検査の予約も

 (1)の「旅行先の国や地域の受け入れ状況」と合わせて確認しなければならないのが、新型コロナウイルスのPCR検査の陰性証明などをはじめとする必要書類の有無です。スイスでは、病院やクリニック、そして薬局などでPCR検査を受けることができます。既にコロナの症状が出ている場合は、検査費用は無料。旅行などで証明が欲しい場合の検査には、140から200スイスフランほどかかります(約1万6000円から2万3000円)。

 ここで重要なのが、旅行先が求める検査結果の有効時間(多くの場合、出国前72時間)に合うように検査の予約を入れるということです。検査結果が出るまでにかかる時間(最大48時間)、そして搭乗予定のフライトが遅延することなども考慮に入れると、予約しなければいけない検査時間の幅は非常に狭いのです。

 我が家もこの年末年始に旅行できる場所を探していて、子供達の冬休み開始と同時にモルディブやカナリヤ諸島など、チューリヒから直行便のある温暖なデスティネーションへの旅行を検討していました。この規制が頻繁に変わる状況では直前の予約しかできず、可能なフライトやホテルを探していたのですが、ある程度候補が挙がって予約に踏み切ろうとしたところで気づいたのは、私たちが希望する時間帯のPCR検査の時間帯がもう残っていなかったということです。大人は出国前ギリギリの結果受け取りでもよければ残っていたのですが、子供達の予約分はすでに残っておらず、今回は旅行を諦めることになったのです。16歳以下の子供が検査を受けられる検査機関が比較的少ないこともあり、子供の旅行用PCR検査のハードルが高いのが現状です。PCR検査は予約後も無料でキャンセルできる場合がほとんどなので、次回は旅行の日程がある程度固まった時点で、まずはPCR検査の予約が必要だと学びました。

日頃旅行は自分たちでオンライン予約をする私達も、このコロナ渦での規制などを踏まえた情報収集は難しく旅行会社へ。スイス側の規制、旅行先の規制や滞在先のコロナ対応など、的確に迅速に教えてくれて非常に助かりました。この日は、同じく年末旅行の相談に来ていた人が多く、入り口では、列になって待つほどでした。

どうなる?今季のスキーシーズン

 スキーをはじめとするウィンタースポーツが大好きなスイス人。1月下旬から3月上旬にかけて、スイスでは地域分散型で2週間の「スポーツ休暇」という学校の休暇がはじまります。これはウィンタースポーツの需要の創造と推進を図る目的の休暇で、チューリヒ州は2月13日から2週間です。多くの家庭では、スキーリゾートのアパートやホテルに滞在して、子供達を1週間単位のスキー学校に入れます。山岳地域に別荘を持っている家庭もあり、2週間の休暇をそこで過ごす人も珍しくありません。

 現在、スイスの隣国では、新型コロナウイルスの感染防止のためにスキー場の営業を禁止しているところもあります。その一方で、スイスは今のところ一定の条件下でスキー場の営業を認めていて、州ごとの感染状況を鑑みて営業許可を出すという方針をしています。ただ、現在は22日までの飲食店の全面営業禁止(持ち帰りは可)の規制を受けて、スキー場は営業しているものの、スキー場のレストランやカフェは営業が許されていません。自ら食べ物を持参するか、焼きソーセージなどのスタンドで買って立ち食いをするかの選択肢のみ。子供連れや天候によっては辛い状況です。

 今年は寒い冬で積雪も多く、標高が低い場所でもスキー場の運営が開始されています。規制が緩和され、飲食店も含めて通常のスキー場の運営が可能になるのか。本格的なシーズンに入り、多くのスイス人がその動向を注目しています。

暖を取る意味でも重要なスキー場のレストラン。
スキー場の売店。現在、売店の屋外の席の使用も禁止の為、ゲレンデの空いているところで立ち食いしている人多数。メニューは、焼きソーセージ、スープ、フライドポテトなど。