シンガポール航空、日本でもNDC本格展開、12月から「クリスコネクト」

  • 2020年7月13日
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 シンガポール航空(SQ)は今年12月1日、IATAの新流通規格NDCに準拠した航空券流通プラットフォーム「クリスコネクト(KrisConnect)」を日本市場で稼働する。7月8日には旅行会社を対象としたオンラインセミナーを開催し、クリスコネクトの概要や利用方法を説明したほか、GDSやテクノロジーパートナー各社がそれぞれの商品の特徴や接続方法を紹介した。

 クリスコネクトの概要については、SQ東京営業部の松藤太郎氏が説明。従来のGDS流通(EDIFACT)よりも「お得」というNDC専用の割引運賃や、航空運賃と各種サービスとのバンドル(組み合わせ)、アンシラリー(付帯サービス)の販売、さまざまなインセンティブを特徴として挙げ、「お客様ごとにパーソナライズされたオファーを提供することが可能」になるとした。

 アンシラリーについては、現在のところ事前座席指定と超過手荷物の事前購入割引だけの対応だが、追加サービスも開発している段階だという。

 接続方法は、APIによる直接接続、SQのB2Bポータル「AGENT 360」経由、GDS経由、アグリゲーター経由の4つがあり、いずれも提供されるコンテンツは変わらない。直接接続の場合は販売契約書の締結が必要となり、接続完了までには3ヶ月から5ヶ月かかるという。また「AGENT 360」はIATA代理店のみが対象で、BSPキャッシュ精算のみに対応。クレジット精算については現在開発中だ。

 クリスコネクトは今年4月からシンガポールで開始され、順次各マーケットでの導入を進めているところだ。SQ便とコードシェア便のみに対応し、12月のリリース時では団体は未対応となる。また、一部海外メディアでは、クリスコネクト開始にあたって、既存のGDS予約に対して手数料を加算するとの報道があったが、セミナーでは「今年12月の開始時にGDSチャージを求める予定はない」と明言した。

GDSなどパートナーも強みと特徴を紹介

クリスコネクトの接続方法

 パートナーによるプレゼンテーションでは、各社がそれぞれの商品の特徴と強みを説明した。アマデウスは、独自ソリューションとしてNDC[X]を紹介。NDCコンテンツを、EDIFACTや他のAPI経由のコンテンツとひとつにまとめたプラットフォームで旅行会社に提供するもので、これまでのGDS業務フローを極力変えることなく、NDCコンテンツとの素早い比較が可能とした。

 セーバーは、パーソナルでタイムリーな商品を提供する「インテリジェントリテール」やオペレーションの効率化のためのNDC活用をめざし、パートナー企業と協力して「Beyond NDC」の取り組みを進めているところ。同社基幹システムの「Sabre Red 360」では、これまでのPNR操作でNDCも取り扱えるとした。

 トラベルポートは特徴として、航空会社の「ブランデッドフェア」について、どのようなサービスなどが含まれるかを画像などで視覚的に確認できる「リッチコンテンツ&ブランディング」機能と、NDCとEDIFACTが混在する中で、旅行会社の条件付けによって優先順位をつける仕組みを内部に持っていることを挙げた。また、OTA向けのTravelport Trip Services APIと旅行会社向けTravelport Smartpoint端末でのNDC開発について、2020年中には双方とも重要な機能は整う予定と明かした。

 セーバーの日本販売代理店も務めるインフィニは、アグリゲーターの「トラベルフュージョン」の機能について説明。すでに世界42社の航空会社とNDC接続を完了しており、基幹システムのINFINI LINX PLUSでは、一括検索、見積書作成、予約実行、BSPあるいはCC決済が開発済み。今後は、精算データ確認や予約変更、キャンセルへの対応を開発していく。同社では、日系企業として日本市場のニーズに合わせたNDC展開を進めていくと強調した。

 インドを本拠とするアグリゲーターのバーテイルジャパンは、旅行会社へのゲートウェイとしてVerteil Direct Connect(VDC)を紹介。特徴としてBtoCを意識した直感的な操作性を挙げた。SQ向けのVDC開発では、発券後のアンシラリーサービスの追加と支払処理、スケジュールの変更通知、記録の分割などを実装し、今年12月のクリスコネクトのリリース時にはすべての機能が整うとした。

 このほか、テクノロジーパートナーとして中国ベースのPKFAREとTravelNDCもセミナーに参加。どちらもアジア太平洋をターゲットとし、日本市場でのビジネスを強化しているとコメントした。PKFAREは、NDC専用のシステムNDC HUBで、TravelNDCはTravelNDC Platformで、航空会社以外の旅行コンテンツも加えて、旅行会社とのAPI接続を進めているという。