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ドイツ観光局、2020年は「ベートーヴェン生誕250周年」で訴求強化[PR]

LINEでチャットボットでの自動回答も開始
地方送客で旅行会社と協力体制を堅持

—デジタルマーケティングを強化しています。今後の方向性を教えて下さい。

西山 2017年にツイッターを開始して、現在ではフォロワー数が10万人を超えた。ツイッターはフェイスブックよりも拡散力が強く、旅行との親和性も高いと思う。今年末までに11万人という目標を設定しているが、年末を待たずに達成しそうだ。今後は数よりもエンゲージメントを増やしていきたいと考えている。

ドイツ観光局日本事務所のTwitter公式アカウント(※クリックでリンク)


ドイツ観光局のLINE公式アカウント

 また、昨年10月にはLINE公式アカウントも立ち上げ、メッセンジャーマーケティングにも注力している。すでに1万4500人ほどのおともだちを獲得している。11月にはLINEトラベル.jpのコンテンツへの問い合わせに対して、チャットボットによる自動回答も始めた。おそらく政府観光局としては初めての取り組みではないか。

 SNSはターゲットが絞りやすい。たとえば、ツイッターはニッチなものにユーザーが反応するが、LINEはスタンダートなコンテンツが好まれるようだ。今後は、ツイッターの中から反応がいいものをLINEでも発信していきたいと思っている。

—旅行会社との関係性についてのお考えをお聞かせください。また、旅行会社への要望があればお聞かせください。

西山 OTAでのドイツ旅行の販売では、80%以上が複雑なコンサルティングが必要のないベルリン、ミュンヘン、フランクフルトなどのスケルトンタイプ。一方、2019年上期で募集型での宿泊第一位の街はローテンブルグで、シュヴァンガウやリューデスハイムなどの田舎も上位に入る。つまり、言葉が通じないなどFITにおいては、ハードルが高い地方都市や田舎のデスティネーションは、添乗員付きなどのツアーの方が行きやすいし、その需要も高い。

 ドイツ政府の観光政策のひとつが、地方の持続可能な成長を促すためにもドイツ全域に観光客を送り込むこと。そのためにも、日本の旅行会社には地方の商品造成をお願いしたい。その取り組みは現地のサプライヤーとのコミットメントを深める上でも大切になってくると思う。

主要旅行会社の企画募集型ツアーでは、地方の小さな都市の宿泊も多く、旅行会社への期待も大きい
資料提供:ドイツ観光局

 また、リピーターを獲得するためにも、クリエイティブなコンテンツを組み込んだ商品造成をお願いしたい。そうすれば、新しいマストレンドが生まれるかもしれない。加えて、今年10月下旬には、富裕層マーケット向けのB2B商談会を実施する計画だ。新しいサプライヤーからの投資と、日本の旅行会社とのマッチングを期待している。

 ドイツ観光局では旅行会社を担当する専任者を置いている。いろいろな場面でデジタル化は進めるが、旅行会社との関係性は変わらない。個別に話をしながら、商品造成をサポートしていきたいと考えている。

—一般論として、5年後の日本おける観光局の存在や意義はどうなっているとお考えでしょうか。

西山 日本がキーマーケットであれば、変わらない。そうでなければ難しい。簡単な話だと思う。ドイツの場合、10%以上のマーケットシェアがあるのは隣国のオランダだけだ。日本の1.4%を含め上位20市場はほとんど変わらず、特定のマーケットに偏っていないのが特徴だ。日本については、今後爆発的に旅行者数が増えるとは考えにくいが、成熟市場としてサステナブルな成長を目指していく。

—ありがとうございました。