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4月に「三越伊勢丹ニッコウトラベル」誕生、合併後の戦略は

ニッコウのノウハウ活かし事業強化へ
富裕層市場でトップシェア獲得めざす

-合併後はどのようにシナジーを生んでいきますか
古川氏 古川 ニッコウトラベルは海外旅行に強く、三越伊勢丹旅行は国内旅行に強いが、今後は相互に送客を強化する。例えば、海外旅行が辛い年齢になってきたニッコウトラベルのお客様には、三越伊勢丹旅行が扱ってきた国内旅行をご案内する。「もう旅には行けないだろう」と思っている高齢者の方々に、気軽に楽しく旅にご参加いただくことが新会社の使命だと思う。一方で、規模が小さかった三越伊勢丹旅行の海外旅行のお客様には、ニッコウトラベルのツアーへの参加を促す。

 ニッコウトラベルの主力はヨーロッパで、年間延べ4000人から5000人程度を送客している。高齢者向けのゆとりのあるツアーなので、1回参加していただけるとその後も気に入ってリピートしていただける。独自に開発した、「セレナーデ号」によるヨーロッパ縦断リバークルーズツアーで新規の顧客も増えているところだ。一方、三越伊勢丹旅行は国内旅行で「三越伊勢丹グランドクルーザー」や「三越伊勢丹プレミアムクルーザー」の豪華バスを運行し、富裕層に支持を得ている。

 現在のリピーター率はニッコウトラベルが7割ほどで、三越伊勢丹旅行も6割から7割程度とともに高い。今後は両社が持つ強みを1つにしていきたいと思う。

-新規顧客の獲得について考えをお聞かせください

古川 当面は高齢者人口が間違いなく増え、海外旅行の利用者の年齢も上がっていくが、その需要に対応できるツアーを提供していく。我々は、他社が催行する海外旅行を「卒業」されたお客様にも選んでいただける質やオリジナリティを追求する。

 ニッコウトラベルの強みの1つは添乗員だ。ツアーにはお客様の孫のような世代の社員が添乗するが、我々は常に「人に寄り添う」ための教育をし、社員も自ら勉強に取り組んでいる。高齢者向けのサービスやサポートについては、他社よりも優位性があると考えている。

 現在の新規の利用者は、年に数回実施している新聞広告や、独自のリバークルーズ商品からの流入などが多い。今後は百貨店からの送客増にも期待している。

-中長期的なビジョンをお聞かせください

古川 「価値あるもの」をしっかりと提案し続けていきたい。旅行業は薄利多売ではあるが、商品の質は落とすことはない。「質」には素材の希少価値や添乗員の対応なども含まれるが、それらを含めて、お客様に旅を味わっていただきたいと思う。お客様の命を預かる仕事なので、業務面ではできるだけ自社に近いところで動かし、何かあれば会社全体で対応できるようにしたい。

 また、長期的には「特別な旅行」を開拓しながら、国内の富裕層旅行でトップシェアを獲得したいという夢も持っている。

-ありがとうございました