観光庁、18年度予算は15%増の294億円、アウトバウンドにも配分

  • 2017年12月24日

▽「情報プラットフォーム」は旅行会社に協力要請、外務省とも連携へ

 アウトバウンド向けの「旅行安全情報等に関する情報プラットフォームの構築」には出国税から1億円を投入。観光庁によれば海外での災害時における日本人旅行者の安否確認の迅速化に主眼を置いたもので、登録した旅行者に現地の治安情報などを提供するとともに、緊急時には双方向のコミュニケーションで安否を確認できる「安全情報共有プラットフォーム」をできるだけ早期に構築するという。企画旅行や手配旅行の参加者を中心に登録を募る考えで、日本旅行業協会(JATA)や海外旅行を扱う旅行会社に登録促進のための協力を求めるとともに、外務省が運営している「たびレジ」とも連携を模索するという。

 残る「『楽しい国 日本』の実現に向けた観光資源の開拓・魅力向上」は23%増の27億4900万円で、このうち出国税は7億5000万円。最も額が大きい「広域周遊観光促進のための新たな観光地域支援事業」は11%減の18億4800万円で、新規の「最先端観光コンテンツ インキュベーター事業」と「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」にはそれぞれ出国税から4億5000万円と3億円を投入する。そのほか「テーマ別観光による地方誘客事業」に昨年と同額の1億5100万円を充てる。

 なお、政府は18年度予算案に加えて、17年度の第1次補正予算案も閣議決定した。総額は91億700万円で、「訪日プロモーションの重点的な実施」に39億円、「観光産業の生産性の向上」に2億400万円、「宿泊施設のバリアフリー化の促進」に15億600万円、多言語案内の拡充などの「快適な旅行環境の整備」に34億9700万円を充てる。

 そのほか、18年度は観光産業課内に「旅行業務適正化指導室」や「民泊業務適正化指導官」などを、国際観光課内に「欧米豪市場推進室」や「相互交流促進官」などを設けるなどして、組織をさらに強化。予算定員を106名増員して200名にまで引き上げる。なお、同庁によれば観光庁の職員については国土交通省の他局職員などが併任しているケースも多く、新規の観光庁専属職員との入れ替わりなどにより、実際のスタッフ数は現在の260名強から、約300名へと増加する見込み。

 税制改正では「国際観光旅客税」の創設に加えて、訪日外国人旅行者への免税販売要件を緩和するほか、免税販売手続きの効率化に向けて購入記録票の提出の電子化を進める(下記関連記事)。