JATA、年度内にも観光庁に出国税の使途提案、若者の海旅支援など

菊間氏  日本旅行業協会(JATA)は今年度内にも、海外旅行の促進に向けた政策提言を観光庁に提出する。チャーターのさらなる規制緩和など従来の要望項目に加えて、政府が導入をめざす「出国税」の使途についても盛り込む考えで、JATAによればパスポート取得方法の簡素化や、若者の旅行需要の喚起に向けた施策などへの使用を提案するという。JATAが海外旅行に関する政策提言を提出するのは、15年以来3年ぶり。通常は6月の定時総会を経て提出することが多いが、次期を前倒して提出を急ぐ。

 11月27日に開催したアウトバウンド促進協議会の意見交換会で、会長を務めるJATA副会長の菊間潤吾氏は、「出国税」が航空券料金に1000円を上乗せして課税する形で議論が進んでいること、早ければ18年年末の概算要求を経て19年4月にも導入される見通しであることを説明。その上で「400億円を確保できる見込みだが、負担者の約4割は日本人の海外旅行者。負担者に受益がなくてはいけない」と強調した。また「400億円の4割は難しいかもしれないが、国から初めて海外旅行促進に向けた予算がつくのでは」と期待を示した。

 出国税の使途については、パスポート取得の際にマイナンバーを活用するなどして、手続きを簡素化することを提案。加えて、旅行者保護の観点から、添乗員付ツアーの参加者の迅速な安否確認を可能にするための「旅行のプロ用の『たびレジ』のようなもの」も提案するという。

 さらに、観光庁がこれまで取り組んできた、若者の旅行促進施策についても強化を求める。同庁は12月にも若者の旅行促進に向けた有識者会議を立ち上げるが、同会議にはJATAからの代表もオブザーバーとして参加する予定。菊間氏は若者の旅行促進については「地域別に活動しているアウトバウンド促進協議会においても『若者部会』など横断型の部会を設立しても良いと思う」と考えを述べた。