関西AP副社長、3空港運営の展望など語る-神戸国際線に意欲

  • 2017年11月19日

ムノント氏  関西エアポート代表取締役副社長のエマヌエル・ムノント氏はこのほど本誌のインタビューに応え、民営化後の関空の運営状況について振り返るとともに、伊丹・神戸との3空港一体運営のビジョンなどについて語った。同社はオリックスとフランスのヴァンシ・エアポートなどが設立した空港運営会社で、昨年4月から関空と伊丹の運営を開始。今年9月には、来年4月に民営化する神戸の運営会社として「関西エアポート神戸」を設立し、神戸市と契約を締結している。ムノント氏はヴァンシ・エアポートの取締役も務める。

 ムノント氏は、関空の運営を開始してからの約1年半については「数年前から(訪日外国人旅行者の増加などで)成長への基盤ができていたこともあるが、16年度は利用者数や発着回数が順調に増加し、決算も良かった」と述べ、滑り出しが順調だったことを説明。そのほかLCC専用の第2ターミナルを大幅に拡張し、国内空港では初めて国際航空運送協会(IATA)などが開発した最新の保安システム「スマートセキュリティー」を導入するなど、オペレーション効率を向上させたことなどもアピールした。

 4月からの3空港一体運営については「大都市圏で3つもの空港を一体的に運営できる機会は貴重。関係者と協議しながら長期的な視野について検討したい」と意欲を示し、将来的に発着枠などの規制が緩和された暁には「神戸からも国際線を運航したい」と語った。関空線を開設しにくい中規模の都市への路線や、チャーター便、ビジネスジェットなどに活用するアイデアなどがあり「関空や伊丹とは異なるタイプの需要に応え、カニバリゼーションが起こらないように配慮して3空港を共存させる」という。ステークホルダーへの配慮については「3空港の運営が認められたことは、我々が地域と良好な関係を構築していることの証し」と自信を見せた。

 そのほか、関空に関してはピーク時の国際線旅客便数が過去最高の週1220便に増加した17年冬ダイヤについて「1週間あたりの運航便数が夏ダイヤ比で約50便増えるなど、強い伸びを感じている」とコメント。成長を牽引してる北東アジア路線については「中国で訪日旅行を規制する動きなどがあり鈍化するかと思っていたが、杞憂に終わった」と述べた。17年冬ダイヤで中国は前冬ダイヤ比9便増の週339便、韓国は72便増の週353便、香港・マカオは16便増の週130便を運航する。

 ネットワーク拡大に関する新たな動きについては、6月からエアアジアX(D7)が運航を開始したホノルル線に、12月からはスクート(TR)も参入するなど、関西からのLCCによるハワイ旅行が需要を拡大しつつあることに言及。「順調に推移していると聞く」と述べ、今後の展開に期待を示した。また、ジェットスター・パシフィック(BL)の路線開設やタイ・エアアジアX(XJ)の増便などが続く東南アジアなどの方面についても、今後の拡大を期待した。