ANAセールス、VRで旅行を中継、「行けない人も一緒に楽しむ」

  • 2017年8月31日

ANAセールス旅行事業本部WEB販売部販売企画課の高橋氏 ANAセールスは9月、旅行中の様子をVRで離れた場所の人物と共有しビデオ通話もできるサービス「ANA VIRTUAL TRIP」を導入する。これは、上下左右360度の画像や動画を撮影できるリコー製のカメラ「THETA(シータ)」と海外ローミングに対応した携帯電話、そしてVRヘッドセットを貸し出し、旅行者がシータと携帯電話を現地に持っていくことで、インターネット経由で画像を共有しながらビデオ通話をできるようにするもの。

 担当者のANAセールス旅行事業本部WEB販売部販売企画課の高橋光毅氏によると、病気や仕事など様々な理由で一緒に行くことができない人も旅行を楽しめるようにするねらいで、「『行きたかった』を解消したい」という。

 サービスを利用する際、旅行者は現地でシータを使いその場の静止画を撮影。VRヘッドセット側はこの静止画データを受信して360度の映像を楽しめるほか、画面の右下部には現地の携帯電話のカメラから動画と音声がリアルタイムで送られてくる仕組みだ。

ANA VIRTUAL TRIPで貸し出す機器3種。将来的には、すでにシータを持っている人向けにアプリのみ提供するといいった展開も検討しているという あえて静止画にしたことで「VR酔い」になりにくくなることに加え、現地の携帯電話画面ではヘッドセットの使用者が何を見ているのかが映し出されるため、「あれ」「これ」「それ」といった指示語を使って会話ができることもメリットとなる。

 利用されるケースとしては、例えば子連れ家族旅行の様子を日本にいる祖父母に伝えるニーズや、ごく少数で行く海外ウェディング、あるいはお土産選びなど多様な場面を想定。シニア層にも利用してもらいやすいよう、操作などは極力簡素化した。

 年度内には実際のサービスを開始したい考えで、9月1日から14日までモニターを募集。9月20日から10月20日までにANAセールスの国内外の旅行商品に参加する10組程度を対象に、機器を貸し出して体験してもらう計画だ。将来的には有料での貸し出しなども検討している。

 なお、開発はVRに強みを持つナーブが担当。同社はもともと不動産の内見をVRでおこなうシステムを手がけており、これを活用したという。

※高橋氏の「高」は本来「はしご高」