travelvision complimentary
itt TOKYO2024

現地レポート:南アフリカ、海と陸のサファリで新たな魅力

  • 2017年7月26日

大都市ダーバンはビジネス客も楽しい
「ビッグ7」の待つポートエリザベス

動物保護の取り組みを知る機会も
海と陸のサファリで南アフリカらしさを

アドゥー・エレファント国立公園から空港までの道すがら車窓からゾウを発見

 せっかくアフリカに行くのなら、陸のサファリは外せない。そう思うのは人情だろう。ポートエリザベスは、そうした旅行者の願いが叶えられる場所だ。

 市街から車で1時間程の場所にあるのが、ゾウの生息地として知られるアドゥー・エレファント国立公園だ。もともと密猟によって減少したアフリカゾウの保護を目的として1931年に認定された国立公園で、当時11頭しかいなかったゾウは、現在700頭にまで数を増やしている。国立公園の名前通りゾウを目当てに訪れる旅行者が多いが、バッファロー、ヒョウ、ライオン、ハイエナ、サイ、シマウマ、アンテロープ、クドゥー、エランドなども生息。つまり市街から車で約1時間というロケーションにありながら、「ビッグ5」(ゾウ、バッファロー、ヒョウ、ライオン、サイ)に遭遇するチャンスのある貴重なサファリサイトというわけである。

朝霧にかすむクドゥー。冬の朝にはこうした幻想的な風景にも出会える

 実は、先に紹介したアルゴア湾のサン・クロイ島、ブレントン島もアドゥー・エレファント国立公園に含まれる。同園は、今世紀に入って、これらの島のある海洋地域に区域を拡大、絶滅危惧種に指定されているアフリカペンギンなど海の生き物たちの保護にあたるとともに、陸の「ビッグ5」に、ホオジロザメ、ミナミセミクジラという海の大物を含めた「ビッグ7」と出会えるユニークな自然保護区として存在感を示しているのだ。

SAMRECに保護されたアフリカペンギンの子供

 南アフリカは、「南アフリカ国立公園」(SANParks)という組織を作るなどして、野生動物保護の分野で先進的な取り組みを行っている。ポート・エリザベスの南に位置するケープ・レシフェ保護区内にあるSAMREC(SA Marine Rehabilitation and Education Centre)も、そうした取り組みの一端に触れることができるスポットだ。

 ここは、傷ついたり、オイルで汚れて動けなくなったりした鳥を保護して海に帰すとともに、環境保護の意義を広く啓蒙していくことを使命としている。一般旅行者も見学が許されており、ペンギンや鳥の救助やリハビリについての説明が聞けるほか、保護されたばかりのペンギンや鳥、集中治療室も見学可能だ。

ペンギンの治療について説明するSAMRECのボランティア

 アルゴア湾のオーシャンサファリを催行するラギー・チャーターズも、共同経営者の一人はアフリカペンギンの研究者で、動物の保護活動にも注力しており、観光目的のみのクルーズとは一線を画す。SAMREC見学などを行程に組み込み、より動物への理解を深められる1日ツアーも可能だ。

 アフリカには、他にもサファリを観光素材とする国は少なくない。そうしたなかで、海と陸のサファリの組み合わせとともに、動物保護の取り組みに触れる素材の取り込みも、南アフリカらしさを打ち出す手段として一考の価値がありそうだ。



取材協力:南アフリカ観光局
取材:佐藤淳子