現地レポート:南アフリカ、海と陸のサファリで新たな魅力

  • 2017年7月26日

大都市ダーバンはビジネス客も楽しい
「ビッグ7」の待つポートエリザベス

ペンギンやイルカに出会いに
ポートエリザベス港を出航

港を見下ろすドンキン保護区。民衆を導くネルソン・マンデラ大統領のメタル像が立ち、その存在の大きさを今に伝える 通常、サファリというと、ゾウやライオンなどサバンナに生息する陸の動物を思い浮かべる人が多いだろうが、南アフリカでは、海の動物を見に行く「オーシャンサファリ」も楽しめる。その拠点のひとつが、南アフリカ南海岸に位置する東ケープ州のポートエリザベスだ。

ボートの間近で泳ぐアフリカペンギンの群れ

 ポートエリザベスはネルソン・マンデラ・ベイ地区の中心をなす港町で、街の中心にはパステルカラーの建物が並ぶ美しい一画が広がる。海岸沿いには美しいビーチが続き、リゾートホテルも点在。その前に広がるのが、ペンギンなどの鳥類や海の哺乳類の生息地として知られるアルゴア湾だ。オーシャンサファリでは、この湾に面したポートエリザベス港をモーターボートで出航、海の生き物たちに会いに行く。

 20人程を乗せたボートで沖に向かうと、やがて海面が騒がしくなる。集まっているのは、魚群を狙うウミドリの群れだ。上空から真っ逆さまに海面にダイビングするケープ・ガネット(ケープ・シロカツオドリ)の姿は迫力満点。上空を旋回する様子を観察していると、海中の魚を虎視眈々と狙っているのがよくわかる。豪快なダイビングとともに海面には水しぶきが上がり、船上からは歓声が上がる。

ミナミアフリカ・オットセイも現れた!

 やがてウミドリにまじって、アフリカペンギン(ケープペンギン)の群れが現れた。陸で見るヨチヨチ歩きの姿と異なり、海面をプカプカと漂い、海面で毛繕いする姿は、まさにトリ。彼らが鳥類であることを再認識させてくれる光景だ。水中に潜る機敏さもまた、海だからこそ見られるペンギンの一面だろう。さらに船を進めると、水面に顔を出すミナミアフリカ・オットセイを発見。ボートを意識してか意識せずか、近くでくるくると回る愛らしい様子に、船上からは再び歓声が上がる。

サン・クロイ島は世界最大のアフリカペンギンのコロニー

 湾内に浮かぶサン・クロイ島は、アフリカペンギンのコロニーとして知られる島だ。島に近づくと、ペンギンだけでなく、島の周囲をゆったりと泳ぐバンドウイルカの集団も迎えてくれたが、彼らはいわば休憩中。アルゴア湾にはホオジロサメが生息するが、島の周囲の浅瀬ではサメはイルカを襲えない。そのため、リラックスして泳ぐイルカの様子が、噴気孔から息を吐き出す音もはっきり聞こえる近さで観察できる。

300頭ものイルカの群れに圧倒される

 ポートエリザベス港を出航し、湾内のサン・クロイ島やブレントン島などを回るオーシャンサファリは、午前中約3時間のアクティビティとなる。日本人、特にシニア向けの素材として、海上での所要時間の長さに若干の難色を示す旅行関係者もなくはないが、次々と現れる海の動物たちの姿は、船酔いやトイレなど多少の懸念を払拭するほどに魅力的だ。今回訪れた5月には出会うことはできなかったが、6月から11月にかけての冬の時期には、さらにミナミセミクジラやザトウクジラなど各種クジラとの遭遇という楽しみが加わる。