外務省・JATA・TCSA、初の「添乗員向け安全セミナー」開催

  • 2017年6月22日

外務省領事局長の能化氏による講演の様子  外務省、日本旅行業協会(JATA)、日本添乗サービス協会(TCSA)は6月22日、同省内で「添乗員のための海外安全対策セミナー」を開催した。ここ数年、世界各地でテロ事件や天災などが頻発している状況を受けて、外務省から添乗員に向けて、ツアー参加者の安全確保に向けたメッセージを発信することがねらい。3者による共同セミナーは今回が初めてで、参加者数は144名に上った。

權田氏  冒頭では、JATA海外旅行推進部部長の權田昌一氏が挨拶し「JATAは旅行会社の価値の再発見に向けて『安全・安心の旅』に力を入れている。添乗員の力によってそれを提供していきたい」と強調。続いて挨拶したTCSA会長の三橋滋子氏は「外務省からお話を聞けることは非常に有難い」と、今回のセミナーの提案に謝意を示した。

三橋氏  その後は外務省領事局長の能化正樹氏と、同局海外邦人安全課長の石瀬素行氏の2氏が講演を実施した。能化氏は近年の海外におけるテロ事件の発生状況などについて説明した上で、添乗員には「安全対策のプロ」をめざすことを要望。そのための「3つのステップ」として「(たびレジなどによる)連絡先の登録」「海外安全ホームページからの情報収集」「具体的な安全対策に関する理解」を挙げ、「実践すればプロへの道は開ける。添乗員が対策を知っていることで、ツアーの価値はFITよりも高まる」と激励した。

 なお、現在の朝鮮半島の情勢不安について言及した能化氏は、在韓日本大使館が、現地の日系コミュニティーの「ソウル・ジャパン・クラブ」と協力して制作した独自の安全マニュアルをインターネット上で公開していることを紹介。引き続き多くの日本人旅行者がツアーで韓国を訪れている状況を踏まえて、添乗員には大いに活用することを求めた。

 その後は石瀬氏が「海外旅行添乗員の安全対策~事件・事故への対応:伝えたい3つのポイント~」と題した講演を実施。外務省によれば、同氏は添乗員に対して「安全対策のプロになること」「高いコミュニケーション能力」「リーダーシップ」の3つを要望したという。

 なお、外務省とJATAは7月6日にも、共催セミナーの第2弾として「旅行会社のための海外安全対策セミナー」を実施する予定。日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)の協力のもと、JATAが入居する全日通霞が関ビルの大会議室で開催する。