「星のやバリ」ついに開業、稼働率80%へ、外国人重視

  • 2017年1月19日

星のやバリ  星野リゾートは1月20日、インドネシアのバリ島南部に位置するウブドにリゾートホテル「星のやバリ」を開業する。同社は海外では、フランス領ポリネシアのランギロア環礁でリゾートホテル「Kia Ora ランギロア」を運営しているが、設計から関わったホテルを開業するのはこれが初めて。当初は14年8月のオープンを予定していたが、オープン時期は複数回にわたって延期され、ようやく開業の運びとなった。

星野氏  19日に開催した発表会で同社代表の星野佳路氏は、開業が遅れたことについて「海外で工事をすることがいかに大変かということを学べた」とコメント。その上で、完成した施設については「我々が設計したものをしっかりと再現してもらえた。『星のや』のクオリティを体現した良い施設ができたと思う」と自信を見せた。

 同氏は「星のやバリ」の予約状況について、「通常は開業の半年や1年前くらいから予約を開始するが、工事の終了時期が確定しなかったためソフトオープンの形で10月から予約を取り始めた。まだまだこれからだと思う」と説明。稼働率は3年後には80%にしたい考えだが、「初年度は国内施設の半分程度になるだろう」との見通しを示した。

 需要の内訳については「我々が1番得意とする日本人の需要はしっかりと獲得したいが、(外国人との)比率は不明」と話した上で、「星野リゾート全体の動向を見ると、日本人が半分以上になることはないと考えている」と説明。昨年7月に開業した「星のや東京」では、外国人の宿泊者が当初の予想を上回り60%に達していることなどを伝えた。また、国内施設における外国人の利用率が高まっていることについて「海外から日本への集客力は付いてきた」と述べるとともに、「これを機に海外から海外への集客力を付けたい」と意欲を示した。

発表会では現地と中継をつないだほか、VRでのバーチャル内覧を実施した  「星のやバリ」はデンパサール空港から車で70分の場所にあり、敷地面積は約3ヘクタール。「聖なる河に向かう運河の集落」をコンセプトに、運河を模した最長70メートルの3つのプール、独立型のヴィラを30室設けた。ヴィラは定員3名で2階建ての「ブラン」が14室、定員3名で平屋の「ジャラク」が4室、定員2名でメゾネットタイプの「ソカ」が12室。壁には伝統的な彫刻を施すなど、バリの芸術の中心地であるウブドらしさを表現した。施設内には渓谷を望むカフェ「ガゼボ」やダイニング、スパなども設けた。宿泊料金は1室あたり1泊約7万円から。

 同ホテルでは、現地での生活を体験できるアクティビティも提供する。レセプションエリアでは、バリ人の信仰に欠かせない葉や花びらで作る供え物「チャナン」作り体験を無料で提供。また、オプショナルツアーとして、ティルタ・ウンプル寺院など世界遺産に登録された景勝地や寺院を日本語ガイドとともに巡るツアー、世界遺産に登録された水利システム「スバック」などバリの文化に触れるトレッキングツアーを用意した。

 発表会ではそのほか、星野氏が2017年の開業計画についても紹介。4月13日に静岡県に全45室の「界 アンジン」を新設するほか、建替工事のため閉館している長野県の「界 アルプス」は11月に開業することを説明した。また、春から運営を開始する同社の都市型観光ホテル第1号の「旭川グランドホテル」については、「2、3年の間に期待されている業績を達成する」と意欲を示した。

 今後の海外展開について星野氏は「具体的な計画はない」としながらも、「台湾や中国など色々と話は来ているので、3年から5年後までには数軒の運営案件が展開できるだろう」との考えを示した。