トリップアドバイザー、課題は国内旅行、コンテンツ拡充へ

牧野氏  トリップアドバイザーは、日本人旅行者の国内旅行での利用増に向けて取り組みを強化する。今年の9月に同社代表取締役に就いた牧野友衛氏は、11月29日に開催したメディア向けのラウンドテーブルで、日本人はトリップアドバイザーを海外旅行で利用する傾向は強いものの「人数の多い国内旅行での利用は一般化していない」と説明。「国内旅行でより多く利用してもらえるよう、サービスの開発や改善を進めていきたい」と意欲を述べた。

 トリップアドバイザーは現在、49ヶ国・地域において28言語でサービスを展開。全世界の680万件の宿泊施設や観光施設、レストランなどの施設を紹介しており、月間利用者数は3億9000万人以上、登録口コミ数は4億3500万件以上に上る。日本国内の登録施設は約70万件で、日本人の利用者数は公開していない。

 牧野氏は国内の各施設に投稿された口コミの92%は日本語であり「圧倒的に日本人が多い」ことから、コンテンツの拡充をはかることにより、国内旅行での利用者は増加させることが可能との見方を示した。施設の登録についてはユーザーや施設のオーナーが登録する方法と、トリップアドバイザーが登録する方法があるが、今後は掲載件数を増やすためにトリップアドバイザー側で積極的に登録を進める。

 国内の各施設に対しては、トリップアドバイザーのさらなる活用を呼びかける。同社では各施設に向けて、写真や動画などの投稿や口コミへの返信などができるほか、競合他社との比較などもできる無料の施設ページ管理ツールを提供しているところ。牧野氏はページ管理ツールの利用を促進することで各施設のページの充実をはかり、口コミ数の増加につなげたい考えを示した。

 加えて、国内の宿泊施設向けの有料サービス「ビジネスリスティング」の利用促進もはかる。トリップアドバイザーのウェブサイト内に電話番号やメールアドレスなどの連絡先をリスティング広告として掲載し、ユーザーから直接予約を受けるもので、既存の利用者のリピーター化を促すとともに、新規の利用者の獲得をめざす。

 このほか、国内の各施設には口コミの有効活用を提案する。牧野氏は伏見稲荷大社がユーザーの口コミをもとに多言語表記の案内看板を作成したことを例に挙げ、「口コミを参考に施設や案内表示の改善をすることは、旅行者に高く評価される」と主張した。

 一方、消費者向けにはモバイル対応を強化。旅行中の利用促進に向けて、モバイルアプリのサービスを強化する考えで、このほど日本を含むアジア太平洋の担当部門にモバイルアプリなどを開発する専門チームを立ち上げたという。さらに、17年後半以降には消費者向けのプロモーションを実施したい考えで、検討を進めていると伝えた。

 牧野氏はそのほか、訪日外国人旅行者の傾向についても説明。日本の登録施設を最も閲覧しているのは米国人で、次いで中国人、台湾人、香港人、オーストラリア人が多く、最近では石川県、茨城県、富山県など地方の施設へのアクセスの伸び率が高いという。