トップインタビュー:BUZZPORT代表取締役社長の江藤誠晃氏

高付加価値のSITプランをウェブで紹介
顧客視点の商品造成を

-旅行会社に対し、どんなパッケージツアーを造成して欲しいとお考えですか

江藤 「このエリアを売りたい」という現地の発想から、パッケージツアーを造成していく必要があると思う。旅行会社や観光局、ホテルなどが集まってデスティネーションを売る形をめざしたい。例えばペナン島の「マラッカ海峡に浮かぶアートの島」プランでは、ユナイテッドツアーズ、マレーシア政府観光局、エアアジア(AK)やエアアジアX(D7)、シャングリ・ラ・ホテルズ&リゾーツと共同でキャンペーンをおこなった。

 旅行会社はパッケージツアーを航空会社と宿泊施設の組み合わせで考えがちだが、プロダクトアウトの商品づくりではなく、旅行者のニーズを考え、デスティネーションをどう見せ、ストーリーをいかに作るかを、商品造成の担当者が考える必要があるのではないか。顧客の方を向く「顧客志向」ではなく、自分が1人の旅行者となったときに、そのツアーに参加するかしないかという「顧客視点」が重要だが、そうした発想は意外と、旅行業界の現場が持っていないと思う。

 旅行会社の現場は売上高と送客数を重視するあまり、利益の追求が疎かになっているように見える。SITでパッケージツアーの利益が大きければ、送客数が少なくてもビジネスは成り立つ。

 また、年間の日本人訪問者数が5万人から10万人程度の市場にも注目したい。台湾、中国、韓国など年間訪問者数が100万人、200万人規模の大型市場に注力するのもいいが、5万人から10万人程度の市場を30も集めれば同じ規模になる。そういう考え方でデスティネーションを発掘していく必要があるのではないか。


-IT化が進むなか、旅行会社はどうITを活用するべきだと思いますか

江藤 ITは「集客ツールとして広告や宣伝に使う」というイメージが強いが、それだけではない。ITが最も力を発揮する領域はスマートフォンで、技術の発達により個人が端末を持ち、海外で常時インターネットに接続して人と繋がることができるようになり、GPS機能などで位置もわかる時代になった。こうした技術を活用した上で、旅行そのもののIT化を考えなければいけない。

 今後は旅行中の旅行者に対して、その人に特化した情報をインターネットで提供し、GPS機能を活用して街歩きを誘導するようなツアーが出てくるだろう。世界遺産の解説1つをとっても、紋切り型のものではなく、「あなたが生まれた年にはここでこんな出来事があった」といった、個人に特化した情報をウェブ版のガイドのように提供する形が現れてくるのではないか。3択クイズを出題して、回答しながら楽しむ、ロールプレイングゲームのような旅なども良いかもしれない。

 ITについては検索などの機能的な側面ばかりが注目されがちだが、旅にはエモーショナルなコンテンツも必要だ。例えば夏期に旅行している旅行者のスマートフォンに、その土地の美しい冬の景色を写真や動画で届ければ、その土地に対する興味はさらに高まり、その後の再訪につながるかもしれない。そのようなITを活用した付加価値が、今後はユニークなツアーを生み出していくのではないか。


-ありがとうございました