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トップインタビュー:トルコ大使館文化広報参事官室のカラクシュ氏

トルコは「平和を求める観光立国」
日本市場にさらなる魅力を紹介

-主要な観光地に治安面の変化はありましたか

カラクシュ トルコは確かにISILの活動や難民の流入などの影響を受けているが、観光地自体は影響を受けていない。今のところイスタンブール、カッパドキア、アンタルヤ、ムーラ、イズミルなどの主要な観光地で、大きな問題が起こったとの報告はない。

 シリアなどからの難民は確かに増えており、現在は250万人がトルコ国内で暮らしている。しかし彼らは、観光客はもとより観光地の住民とのトラブルさえ引き起こしていない。そのことは、難民が治安面での懸念となっていないことを証明していると思う。トルコは難民を一手に引き受けているが、80億米ドルもの国家予算を彼らの生活支援に割いている。


-日本人が考えているほど悪い状況ではないということですか

カラクシュ 現在の治安面の懸念は、あくまでも一時的なものと考えている。先日のG20をはじめ、国際的な会議やイベントは継続して開催されている。16年4月から10月まで開催される「アンタルヤ国際園芸博覧会」には、日本政府もパビリオンを出展する予定だ。

 日本においても、旅行業界の方々の多くはトルコが実際には安定していることを認知し始めていると思う。間違った報道に影響を受けた一般の方々も、少しずつそれが真実ではないことに、気が付き始めているのではないだろうか。


安全面の問題に過敏に反応しやすいと言われる、日本人の国民性をどう捉えていますか

カラクシュ 日本人には、自らの興味の対象をしっかり見定めた上で旅行する人が多いと思う。興味や関心の度合いが高く、生活や文化を見聞するためだけに、特定の種類の花を見るためだけに、自転車大会に参加するためだけに、トルコを訪れる人がいる。日本人旅行者は何かに関心を持ったら、その素材を手放すことがない。

 日本人は旅行することを諦めない人々だ。だからこそ、我々もさまざまな魅力を紹介し続ける。特に歴史ファンにとっては、トルコそのものが大きな博物館のようなものだと思う。


近年の動向を見ると、トルコへの日本人旅行者数は何度も大きく落ち込んでいますが、その都度、以前の水準にまで回復しています

カラクシュ 公開中の日土合作映画「海難1890」を見ても分かる通り、トルコと日本には120年以上にわたる友好の歴史がある。それでも日本におけるトルコのイメージは、まだまだ限られたものでしかないと思う。もう少しトルコに対する広範な理解が得られれば、さらに多くの日本人旅行者に来ていただけると考えている。