アクセスランキング、1位はCI新路線、双方向の需要拡大に期待

[総評] 今週の1位は、チャイナエアライン(CI)が冬ダイヤで西日本から高雄と台南へ3路線を開設する記事でした。具体的には熊本と福岡から高雄へ週2便ずつ、関空から台南へ週3便を運航するもので、記事をご覧いただかなくてもお分かりの通り、旺盛な訪日需要が背景にあります。

 先日、出張の帰国時に香港から成田へ到着した際、入国審査場で列に並ぼうとしたのですが、並んでいたのは外国人向けのレーンばかりで、日本人向け窓口には1人もいないという光景を目の当たりにしました。香港を朝に出る便であったことも理由かと思いますが、せっかく登録した自動化ゲートも利用する意味がなくなる状況に大変驚きました。

 日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2015年1月から5月までの訪日外客数は約750万人で、日本人出国者数の640万人を大きく上回っており、何もなければ年間でも間違いなく逆転するでしょう。それどころか、いきなり2000万人を達成してしまうかもしれません。

 こうも急激な伸びを見ると、ついバブルのようにぱちんと弾けてしまうのではないかと心配してしまいますが、考えられることとしては、例えば本来のポテンシャルからすれば来ていて当然だった水準まで増加していっている途中である可能性や、あるいは何かしらのブームの最中である可能性でしょうか。

 前者が望ましいことは述べるまでもありませんが、色々なシナリオを想定しておいても損はありません。少なくとも中長期的に今のような50%近い伸び率が続くことはないでしょう。また、仮に一過性のものではなかったとしても、そのポテンシャルやトレンドにあぐらをかいていては危険です。

 世の中には魅力的なデスティネーションが無数にあり、あるいは今は旅行しにくい国が大変身するかもしれません。持続可能な成長のためには、実るほどに頭を垂れ、より良い旅行体験を追求していくことが求められると感じます。

 一方、5位の記事のタイトルにもある通り海外旅行市場は「低迷」しているわけですが、訪日需要に牽引されて座席が増えていく中で、それをまったく利用できないというケースばかりでもないでしょう。先ほどのブームの話にも通じるところで、路線の安定にとって需要のバランスは鍵となるものです。

 地方の出国率の低さが課題として指摘されて久しいですが、訪日プロモーションの分野でも地方への需要分散が課題とされています。アウトバウンドだインバウンドだと完全に区別して考えるのではなく、双方向の人の流れを拡大するために何ができるのか、関係者が協力し知恵を出し合っていく体制が望まれます。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2015年7月第2週:7月5日0時~7月10日18時)
第1位
チャイナエアライン、日本/台湾南部間で3路線開設-15年冬から(15/07/07)

第2位
HIS、夏休み海外旅行はハワイが1位-シルバーウィークに人気集中(15/07/05)

第3位
豪州70万人へ、座席増など追い風に-各州に聞く現状と戦略(15/07/09)

第4位
楽天、顧客サービス強化、訪日サイト拡充-潜在需要への取組も(15/07/06)

第5位
低迷する市場で「ライト層」に注力を-エイビーロード海外旅行セミナー(15/07/07)

第6位
角屋旅館と佐野温泉が破産手続、宮城の住久は民事再生法申請(15/07/07)

第7位
中部、主要3空港に対抗せず独自路線追求-新社長が会見(15/07/06)

第8位
ジャルパック、ウェブ販売への取組強化-女性1人旅も(15/07/08)

第9位
ハワイアン航空、ホノルルの日本線発着ターミナルに新ラウンジ(15/07/05)

第10位
デルタ航空、ビジネスクラスのアメニティ刷新、2種類のケースで提供(15/07/07)