ニュージーランド首相、安全をアピール-JATA田川氏、教育旅行に意欲

  • 2015年3月25日

(左から)ニュージーランド首相のジョン・キー氏、JATA会長の田川博己氏  ニュージーランド首相兼観光大臣のジョン・キー氏が来日し、3月25日に日本旅行業協会(JATA)とラウンドテーブルを開催した。日本の旅行業界との関係強化と、ニュージーランドへの日本人渡航者数増などを目的としたもの。終了後のインタビューでキー氏は業界誌らの取材に応え、イスラム過激派組織ISILなどで世界的に不穏な状況はあるが「ニュージーランドは他国に比べて安心、安全な国で、素晴らしい体験ができる」と安全性を強調。シニアから若者まで、沢山の人々に訪れて欲しいと語った。

 また、今後強化していくポイントとして、中国や中南米からの新市場や、ハイエンド層、法人旅行をあげた。さらに、スポーツイベントや映画などを活用したプロモーションも展開していく考えだ。

 JATA会長の田川博己氏も「テロに対する脅威を含め、安全や安心について、世界の関心が非常に高い」と言及。「安全の問題を考えると、2国は持っているポテンシャルが似ている」との考えを語り、伝統文化やスポーツイベントを含め、両国でコラボレーションした魅力の発信を提案した。さらに「コラボレーションにより新たな価値が生まれるのでは」と述べ「今回の会議がそういうきっかけになれば」と話した。

 さらに、田川氏は若者の教育旅行や留学などについて言及。クライストチャーチの地震で減少傾向にあったが「ニュージーランドは安心安全の場所に子どもを行かせるという意味では最適な場所。(地震から)4年が経過しており、アピールをもう一度したい」と意気込みを述べた。また、ニュージーランドへの教育旅行はヨーロッパの代替地として見る傾向があったが「ニュージーランドのオリジナリティとして行くというチャンスを作らなければならない。そういうところは我々(旅行会社)の役割では」と意欲を示した。

 ニュージーランド政府観光局によると、観光産業は輸出産業の第2位で、GDPの4.0%(83億ニュージーランドドル)を占める。キー氏は例えばカフェやゴルフコースなどの観光関連産業などを含めると「約10%の経済波及効果がある」と説明。政府として5年間、観光業促進のために投資を継続しているという。

ラウンドテーブル出席メンバー。JATA役員に加え、NZ、SQ、QFからも担当者が出席した  誘客については「ボリュームだけでなく付加価値を狙っていきたい」と話し、訪問者数の増加に加え、質の高い旅行者の取り込みをはかる考えを述べた。日本人は長年ニュージーランドを訪問しており、消費額も多いことから「良いお客様として、我々は喜んでお迎えしている」とし、さらなる増加に期待を述べた。ただし、渡航者増のためには2国間の移動の利便性向上が重要との考えで「日本の航空当局マタ―ではあるが、羽田の昼間時間帯のスロットをいただければ」と要望を述べた。

 2014年3月から2015年2月のニュージーランドへの訪問者数は前年比5.1%増の290万人。このうち日本人訪問者数は10%増の8万1712人だ。キー氏は日本市場についてはリタイア層が多く訪問しているといい、バスツアーでの周遊や景色を楽しんでいると説明。今後は若者層について、「ラフティングやバンジージャンプなどのアクティビティを幅広く楽しんでもらいたい」とアピールした。

 田川氏も、例えばクイーンズタウンにはルージュやマウンテンバイク、ハングライダーなどさまざまなアクティビティが複合的に遊べる施設があるとし「子どもが1日いても楽しめるが、そういうアピールがまだできていない」と今後の課題を挙げた。