日韓観光振興協議会、地域交流や危機対応などで確認書、ツーウェイ拡大へ

  • 2014年12月2日

観光庁審議官の蛯名邦晴氏(左)と韓国政府文化体育観光部観光政策官の金哲民氏  観光庁と韓国文化体育観光部は12月2日、東京で開催した第29回の日韓観光振興協議会で、今後の両国の観光交流のあり方について意見交換し、双方向の交流拡大に向け、地方間交流の積極的な推進や、危機対応における連携強化を確認する文書を交換した。同会は、両国の当局および関係者が、定期的な意見交換のために実施しているもので、開催は2013年6月以来、約1年5か月ぶりとなる。

 確認書では、「来年が日韓観光交流における新時代の幕開けの年となるよう、双方向の交流拡大に向けて具体的な連携を強化する」と明記。特に、交流を地域レベルにまで広げることが極めて重要との認識を共有し、関係機関や団体とも連携することで「地方間交流を積極的に推進する」との方針を示した。また、互いの誘客プロモーションに可能な限り協力するとし、日韓共同の写真コンテストなどの実施に向け、検討を進めるとした。

 観光交流の危機時には相互協力に努めるとし、災害や疾病などにより観光交流への危機が懸念される場合には、2国間における正確な情報共有などをおこなうことを確認。相手国で危機的状況が発生した場合には、相手国の観光交流の回復に向けた措置にできる限り協調し、「自国外交当局と連携の上、不正確な情報により交流の減少が発生しないよう協力する」とした。

冒頭で挨拶する蛯名氏  会の冒頭では、日本側出席者を代表して挨拶した観光庁審議官の蛯名邦晴氏が、今年10月までの累計で訪日韓国人は6.8%増の225万人と順調に伸びている一方、訪韓日本人は15.7%減と大幅に減少している現況を韓国側に報告。「回復が急務と考える」と指摘した上で、2018年の平昌冬季五輪と2020年の東京夏季五輪が続けて開催されることや、来年の日韓国交正常化50周年を好機として、両国の関係者が一丸となって双方向の交流拡大に取り組む必要性を強調した。

挨拶する金氏  韓国側出席者を代表して挨拶した韓国政府文化体育観光部観光政策官の金哲民氏は、今年4月に太田昭宏国土交通大臣が、韓国で文化体育観光部長官と会談し、両国が国交正常化50周年をきっかけとして、観光交流活性化について協力することで合意したことに言及。「人的交流が鈍化している今の状況の中、来年を観光交流拡大の転換点としなくてはならないとの意見を共有した」との見方を示した。

 また、韓国では2011年に、日本よりも早く年間訪韓外国人観光客数1000万人を達成し、今年は1400万人を達成する見込みであることを報告。「日韓両国は北東アジア地域の観光先進国」と述べるとともに、両国の観光活性化に向けた政策の中でも、特に観光客の地方分散などについて建設的な意見交換をおこないたいとした。なお、日本側の出席者によれば、この日の会合で韓国側からは、日本人旅行者の誘致に向けた新たな打開策などは挙げられなかったという。

 日本側の出席者は、観光庁、日本政府観光局(JNTO)、日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)、日本観光振興協会(日観振)、日本航空(JL)、全日空(NH)、関東運輸局からの代表20名。韓国側出席者は、文化体育観光部、韓国観光公社(KTO)、地方自治体、ロッテJTBなどの旅行会社、大韓航空(KE)、アシアナ航空(OZ)などから同じく20名が出席した。次回会合は2015年中に韓国で開催する予定。