HISとANAセ、合弁で訪日FITにホールセール-20年に売上100億円へ

  • 2014年9月1日

(左から)HISの平林氏、新会社社長の深木氏、副社長の廣岡氏、ANAセールスの白水氏 エイチ・アイ・エス(HIS)とANAセールスは9月1日、訪日旅行の活性化に向けた提携に合意し、基本合意書を締結した。11月をめどに合弁会社として旅行会社を設立し、2015年春から営業を開始する予定。新会社では訪日個人旅行者向けに、国内発着の個人型パッケージツアーの企画、造成、手配をおこなっていく。販売はHISの海外拠点とウェブサイトで実施。2020年までに年間売上高100億円、送客数20万人をめざす。

 新会社の資本金は6億円。出資比率はHISが51%、ANAセールスが49%。代表取締役社長には現HIS本社新規事業開発室長の深木重和氏、代表取締役副社長には現ANAセールス経営企画部担当部長の廣岡伸雄氏が就任する。社員数は8名程度で、2社からそれぞれ出向する。

新会社社長の深木氏 9月1日の記者会見で、深木氏は「ニーズに合わせた商品を双方の会社の力を合わせて作り、訪日を伸ばし、地方都市を含めた日本を元気にしていきたい」と意欲を語った。新会社では、全日空(NH)の日本51都市115路線やANAセールスの持つホテル、観光素材などの旅行商品と、HISが国内宿泊予約サイト「スマ宿」で展開するホテルやハウステンボス、ラグーナテンボスなどの観光素材を組み合わせ、国内発着のパッケージツアーを造成する。

 ツアーは顧客のニーズの多様性を考慮し、HISの「チャオ」のように、ある程度旅行者のニーズに合わせた変更が可能なパッケージツアーを想定する。国内発着とし、日本に来る手段は問わない。深木氏は「どの国際線を使っても、日本の国内旅行が買えるというのは新しい取り組み」であると強調。ANAセールス代表取締役社長の白水政治氏も「海外路線はたくさん出ているが、飛んでいないところも多くある」とし、他社航空会社の利用でも受け入れる姿勢を示した。

 白水氏は、国内旅行は人口減などの影響で、「今後は微増、または現状ぐらいが精一杯」であるとし、地方活性化には海外からの誘客が重要であると強調。現在、訪日需要は首都圏やゴールデンルートに偏っているが「全国各地隅々まで、経済活性化を促す仕組みが日本全体に求められるはず」とし、今回の新会社で地方と連携してさまざまな取り組みを実施していきたいとした。

 NHでは2013年から「Taste of JAPAN by ANA」として、各地の魅力を紹介し、地域の活性化をめざすプロジェクトを展開しているところ。そうした地域活性化のノウハウを新会社で活かしていく考えだ。

 また、HIS代表取締役社長の平林朗氏も「今まで脚光を浴びづらかった地方都市、地方空港を活用して新たな訪日旅行需要、日本の魅力を伝えていきたい」と意気込みを示した。合弁会社設立については、「今回やろうとしていることはHISだけではできない」とし、双方のグループのノウハウを結集し、「両社の力を合わせて新たなモデルを作っていきたい」と語った。

 販売はHISが海外58ヶ国122都市に展開する177拠点のうち100拠点の店頭と、同社が運営する39ヶ国41サイトの多言語対応が可能なウェブサイトで実施する。現在HISの海外拠点には約3000人のスタッフが在籍しており、新会社設立に合わせ、訪日商品販売のための教育にも取り組んでいく方針だ。

▽訂正案内(2014年9月2日 10時20分 編集部)

訂正箇所:8段落1文目
誤:販売はHISが海外58ヶ国122都市に展開する117拠点のうち・・・

正:販売はHISが海外58ヶ国122都市に展開する177拠点のうち・・・