現地レポート:北部ドイツのブレーメン、歴史とイノベーションを体感

  • 2014年6月26日

ブレーメンの中心マルクト広場。いつも観光客で賑わっている  今年のジャーマン・トラベル・マート2014(GTM2014)のホストシティとなったブレーメンは、北ドイツではハンブルグに次いで2番目に大きな都市。13世紀から14世紀にかけてハンザ同盟の一部として隆盛を極めた。日本では、グリム童話「ブレーメンの音楽隊」の舞台としての印象の方が強いかもしれない。そうした歴史の物語が詰まっている一方で、現代のブレーメンはイノベーションの町としてドイツで重要な役割を果たしている。新旧興味深い観光素材がそろうブレーメン。南部ドイツに偏りがちな日本市場に向けて、新たなドイツ観光の可能性を探した。


世界遺産でブレーメンの歴史を知る

ブレーメンの音楽隊の銅像は市庁舎の裏手に  古いブレーメンのハイライトはユネスコ世界遺産にも登録されている「マルクト広場の市庁舎とローラント像」だろう。町の中心に広がる中世の佇まいは、ブレーメンの顔として市民に親しまれ、世界中の観光客を惹きつけている。

ブレーマー・ラーツケラーは観光客に人気のレストラン  市庁舎が建設されたのは1404年で、ヨーロッパでも唯一、建設当時のままの姿を今に残している。その市庁舎を守護するように建つのがローラント像。中世文学「ローランの歌」に登場する英雄ローラントを象った像で、ブレーメンの自由と独立を守る象徴として市民に愛されてきた。長い歴史の間には度々倒壊の危機に見舞われたが、その度に市民の手によって守られてきたという。

ドイツ最古のワインがブレーマー・ラーツケラーの地下で静かに眠る  市庁舎の地下に広がるレストラン「ブレーマー・ラーツケラー」も世界遺産の一部。ドイツ主要都市の市庁舎の地下には同じようなラーツケラーがあるが、ブレーメンの最大の特長はその貯蔵されているワインの豊富さだ。その数約400種類。なかでも、1653年に醸造されたドイツ最古のワインが今でも静かに樽のなかで眠っている。

 薄暗いラーツケラー内は中世の面影を残し、雰囲気も抜群。GTM2014に参加した日本のランドオペレーターによると、「パブリックなので値段もリーズナブル。ランチで使う日本からのツアーも多い」という。ミュンヘン市庁舎のラーツケラーと比べると狭く、キャパシティーも小さいが、ブレーメンの歴史を体感するなら絶好の場所だろう。