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地域、空港、航空、旅行会社「四位一体」で地域活性を-JATA旅博

  • 2013年9月19日

オープンスカイで路線増加、旅行会社、地域活性の取り組みも

GEの横田恵三郎氏 インバウンド誘致に欠かせないのは旅客を運んでくる航空会社の存在だ。航空会社はオープンスカイが進むなか、開かれ始めた日本の空にビジネスの可能性を見出している。例えば台湾のトランスアジア航空(GE)は、日本と台湾との航空協定により、長らく日台間の定期路線に参入できなかった。台湾側はチャイナエアライン(CI)とエバー航空(BR)の2社に限り、定期便が運航できたからだ。

 しかし2011年に日台間でオープンスカイ協定が結ばれたことを受け、GEは2012年9月から釧路など北海道5地域に乗り入れ、昨年には関空線にも就航するなど、一気に路線を拡大。「今年度は台湾/成田線も自由化され9月からは成田線も開設した」(GE日本支社長の横田恵三郎氏)。

 地域、空港、航空会社を三位一体の要素とするなら、四位一体のための、もうひとつのピースが旅行会社である。これまで発地主義のビジネスを展開してきた旅行会社は、地域に旅行客を送り込む機能を持ちながら、地域活性化に主体的にはかかわってこなかった経緯がある。

 しかし観光立国の機運が高まる中で旅行会社の取り組みも変化した。たとえばジェイティービー(JTB)では交流文化事業を事業ドメインに定め、DMC(デスティネーション・マネージメント・カンパニー)としての役割を果たす方針を打ち出している。JTBグループ本社・旅行事業本部観光戦略部訪日事業推進室長の安部雅之氏は、「20年、30年のスパンで地域活性化を考え、永続的に地域と共に歩んでいきたい。大切なことは、地域が主体的に町づくりに取り組めるプラットフォームを作り上げること」と旅行会社の役割について意見を述べた。


地域一体の取り組みが重要、広域で連携を

JTBの安部雅之氏  四位一体を構成する地域、空港、航空会社、旅行会社のいずれも、自らの役割を認識し、協働していく必要性を認めている。しかし課題は多い。

 航空会社の行動原理について牛場氏は「レガシーキャリアはっきりと採算重視であり、地方路線の収支が悪ければ切る。いまの実態としては四位一体の一角とは言い難い」とする。しかし「世界のLCCは新規需要を生んでいる」とし、「日本のLCCはレガシーのクローンだが、今後はさらに新しいLCCも増える。自社のサステーナブルな路線維持のためにも地域とのコラボを重視し、四位一体にはげむことになるだろう」と期待感を述べた。

 航空会社への期待がなされる一方で、航空会社側からは過度な期待に釘を刺す場面もあった。横田氏は「地域の側には“路線が飛べばすべてOK”との妄想があるが、赤字では航空会社は路線を維持しない。需要が長期的に安定しなければ意味がない」点を強調。

 また、インバウンドを期待した海外からの航空路線誘致の在り方についても、「我が市、我が県へと誘致するが、旅行者は面でみており点でアピールされても戸惑うだけ。広域連携し面でアピールするべきだ」と地方自治体の視野の狭さが指摘された。安部氏も「インバウンドは広域観光そのもの。広域でどういうストーリーを描き、日本を旅してもらうかを考えることが重要」とした。