11年は海旅リードで業況好転、取扱高営業利益率が改善-JATA経営分析

 日本旅行業協会(JATA)が取りまとめた2011年度の旅行業の経営状況「旅行業経営分析2013」によると、調査に協力した第1種旅行業者194社の営業利益は1億177万円で、取扱高営業利益率は0.53%(全体平均)。10年度の赤字から大幅に改善した。

 ただし、2月26日のJATA経営フォーラムに登壇した公益財団法人日本交通公社(JTBF)主任研究員の黒須宏志氏は、回答社数が大幅に減少したため業界の平均像を表しているとはいえないと指摘。その理由を踏まえた上で、JATAの旅行業経営分析2013の結果を見ていきたい。


小規模事業者の回答減少
データの読み解きは注意を

 回答社数が大幅に減少した理由は、09年をもって観光庁が調査を終了し、その後はJATAが協力を依頼する形で実施しているため。09年(「旅行業経営分析2011」)は509社の回答があったが、2011年度の調査(「同2013」)は194社となっており、JATA保証会員である第1種旅行業者659社の約3割の結果となっている。

 調査から消えたのはどのような旅行会社か。回答社を規模別にみると、10人未満の会社が09年の28%に対して2011年は17%と縮小しており、小規模事業者が相対的に減少。また、黒字社の割合は09年の49.9%から11年は73.4%とその比率がアップした。

 つまり今回の分析は、旅行業界の実態よりも黒字計上の中堅・大手旅行会社の割合が高いデータとなっている。黒須氏は「業況として黒字社が増える流れにあったことはいえる。しかし、これが業界全体の姿であると理解してはならない」とくぎを刺した。