アクセスランキング、1位はエミレーツ羽田就航、LCCツアーも

[総評] 今週の1位は、エミレーツ航空(EK)が羽田空港に就航することをお伝えした記事でした。今年6月から羽田/ドバイ間をボーイングB777-200ER型機でデイリー運航し、成田と関空の路線も維持するという計画です。先週のランキングでもエティハド航空(EY)日本支社長の稲場則夫氏のインタビューが3位に入り、急成長を続けていることをご紹介したところですが、中東系航空会社の動きには驚かされるばかりです。

 驚く、と書きましたが、個人的にはむしろ「異質なものを感じる」という表現がしっくり来ます。世界の航空業界では、国際航空運送協会(IATA)の設立メンバーでもあるような欧米の航空会社が常に主導的立場にあり、スカイチーム、スターアライアンス、ワンワールドというアライアンスの中心にもなってきたわけで、これまでは路線展開やゼロコミッションなど流通戦略を含めて、欧米の航空会社を見ていれば、ある程度は航空会社経営のトレンドが分かっていたように思います。

 しかし、中東系航空会社では、カタール航空(QR)はワンワールドへの加盟を決めているものの、例えばEKがエアバスA380型機を90機、カタログ価格で約1兆円(当時)分を発注したことや、EYの提携戦略などは間違いなく独自路線といって良いでしょう。

 EKのA380型機発注は、大量輸送時代に別れを告げ、市場ごとに最適な座席供給量を設定するなどして収益を最大化しようとするイールドマネジメント重視の流れの中で、異質といって差し障りないでしょう。EKのウェブサイトで保有機材を見てみると、一番座席数の少ない機材でA330型機の237席(3クラス)ですから、一般的な経営トレンドでは考えられないような機材構成です。

 また、EYの提携戦略も、コードシェア提携先の一部を出すだけでエールフランス航空(AF)/KLMオランダ航空(KL)、ニュージーランド航空(NZ)、エアベルリン(AB)、全日空(NH)、アメリカン航空(AA)、ガルーダ・インドネシア航空(GA)、マレーシア航空(MH)、トルコ航空(TK)、ベトナム航空(VN)などとなっており、アライアンスなどまったくお構いなしです。

 先週も同じことを書きましたが、このように既存の枠にはまらない航空会社がLCCを含めて増える中で、旅行会社としても従来型の思考を離れて、柔軟に対応していくことが求められます。むしろ大きなうねりの中では、流されずに流れに乗ることによって通常は望み得ない変化を遂げることも可能ではないかと思います。

 3位にはアマデウスのインタビューが入っていますが、登場するアマデウス・アジア太平洋地区社長のデービッド・ブレット氏も航空会社と旅行会社それぞれの変化について言及されています。コミッションを支払うLCCがある、というお話しはこれまた驚きでしたが、もはや何があっても不思議ではないのかもしれません。

 今回のインタビューではありませんが、ブレット氏が以前「ニュー・ノーマル」という考え方を示されていたことが今でも記憶に残っています。様々な要因によって起きる変化について、例えそれが経済危機や震災など突発的な要因であったとしても、一定期間が過ぎても直接的な影響が消えなければ、変化した物事自体は元に戻らず「ニュー・ノーマル」になるというものです。

 消費者、航空会社、ランド、ホテル、そして流通手段など、旅行業界を取り巻く様々な物事が「ニュー・ノーマル」を形作っていく中で、旅行業界がそれにどう対応していくか、容易に答えが見つかる問題ではありません。しかし、より良い未来のためには周りの変化に引きずられるのではなく、自ら変化しなければなりませんし、そのためには旅行業界に関わるすべての人が日々の業務に取り組みながら常に考え続けていく必要があるでしょう。

 その意味では、4位に入ったビッグホリデーによるエアアジア・ジャパン(JW)の商品化の記事は、「ニュー・ノーマル」への対応の一例といえます。詳細は記事をご覧いただくとして、こうした取り組みを各社がおこなっていくことが唯一の道であるように思います。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2013年1月第5週、2月第1週:1月27日0時~2月1日18時)
第1位
エミレーツ航空、羽田に就航へ、B777でデイリー運航計画(13/01/28)

第2位
NH、B787運休で14億円の減収-国際線、2月は134便で欠航決定(13/01/31)
全日空、3Q営業利益は過去最高の1075億円-JWの収益計上も(13/01/31)

第3位
トップインタビュー:アマデウス、テクノロジーで変化に対応を(13/01/31)

第4位
ビッグホリデー、エアアジア・ジャパン利用ツアー開始、ホールセールも(13/01/30)

第5位
現地レポート:ハワイ、隣島+オアフで新体験をアピール(13/01/29)

第6位
大韓航空、成田/ホノルル線就航記念でプレゼントキャンペーン(13/01/28)

第7位
KNT、13年ホリデイはテーマ性強化、高品質な旅で収益拡大へ(13/01/27)

第8位
訪日旅行が「回復」、13年外客数1000万人へ-12年は史上2番目(13/01/27)

第9位
阪急阪神交通社、事業再編、阪急阪神HDの中核会社に(13/01/30)

第10位
12年の賞与は3.2ヶ月、08年以来-13年春闘も年収・待遇改善へ(13/01/31)