観光庁、概算要求は8%増の111.7億円-東南アジアの訪日を強化

  • 2012年9月9日

 国土交通省は2013年度予算の概算要求として、観光関係予算を前年比8%増の111億7700万円とした。「訪日外国人3000万人プログラム」「観光を核とした地域の再生・活性化」「観光産業の再生・活性化」「ワークライフバランスの実現に資する休暇改革」「観光統計の整備」「その他(経常事務費等)」の6項目で1%増の101億400万円と前年並みの予算を要求。これに、「復興枠」として221%増の10億7200万円を加えた。

  訪日外国人3000万人プログラムでは6%増の88億2200万円を要求する。観光庁では、7月に閣議決定された「日本再生戦略」で観光立国が11の戦略分野に選ばれたことを受け、戦略の「重点要求」枠として「東南アジア・訪日100万人プラン」を新設。重点要求は日本再生戦略関連の施策に対し、予算の上乗せ要求を認めるもので、観光庁では5億9900万円を要求する。

 これは、震災後高い伸び率を示し、今後も需要拡大が見込める東南アジアを韓国、中国、台湾、アメリカ、香港の5大市場に並ぶ主要市場に成長させることで、送客元を多様化して特定の市場への過度な依存を防ぎ、リスクの分散をはかる考え。2011年は6市場から約50万人が日本に訪れており、2013年の目標は2倍の100万人に設定し、1450億円の消費額を見込む。

 プランでは東南アジアのタイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナムの6ヶ国から訪日外国人の増加をはかり、東南アジアの一般消費者向けにプロモーションをおこなう計画。イベントなどに加え東南アジア人向け訪日ポータルサイトを立ち上げる予定だ。

 一方、訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)は最も要求額が大きい19%増の58億4300万円。海外の旅行会社を中心にプロモーションを展開する計画で、現地旅行会社向け事業として5大市場とオーストラリア、タイ、イギリス、シンガポール、カナダ、フランス、ドイツ、マレーシア、インドネシアの計14市場に対し、旅行会社との共同広告や旅行会社招聘、セミナーや商談会などへの出展をおこなう。

 また、海外現地の在外公館や日系企業などと連携した事業も展開していく。現地旅行者向けには5大市場で、旅行情報の発信やメディアの招聘事業を実施。さらに、MICE誘致、開催も引き続き取り組む。他国との誘客競争を勝ち抜けるようマーケティング戦略の高度化と、今まで誘致に至っていない潜在的な需要の掘り起こしもはかる。

 このほか、訪日外国人旅行者の受入環境整備事業が40%減の5億2000万円、日本政府観光局(JNTO)運営費交付金が1%減の18億5900万円とした。


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