JATA、ゼロ回層とアクティブシニアへの需要喚起が課題-11年旅券統計分析で

  • 2012年3月21日

 日本旅行業協会(JATA)VWC2000万人推進室はこのほど、外務省が公表した2011年旅行統計を独自に分析し、ビジット・ワール・ドキャンペーン(VWC)からVW事業へ進化させるなかで想定される課題を示した。VWC2000万人推進室長の澤邊宏氏は、分析結果を踏まえた今後のアクションプランとして、1年間で一度も旅行をしないような「ゼロ回層」とアクティブ・シニア層をターゲットとした海外旅行需要喚起策が想定できるとした。

 分析によると2006年以降、有効旅券数と法務省発表の出国日本人数はともに減少したが、2010年以降は相関関係が崩れ、旅券数の減少は続くが出国日本人数は増加している。これにより、澤邊氏は出国日本人数が年間に複数回渡航する「リピーターのビジネス旅行者で支えられている」と分析。また、2011年の一般旅券発行数が前年比5.3%減の396万1382件と減少していることも踏まえ、「ゼロ回層」、なかでも比較的アプローチしやすく、長期的な需要喚起に有効なターゲットとして学生層の需要喚起を強化していく必要があるとした。

 VWCキャンペーンでも若者層を学生、20代、30代の3つに分けてアプローチをしており、なかでも学生層については観光系の大学や日本観光学生連盟などと協力し、集中的にプロモーションを展開。2012年度も取り組みを継続していく考えだ。

 また、年代別で見ると、ほぼすべての年代で2008年以降の旅券発行数は増加しているが、2011年は30代から70代、特に50代から70代で大きく減少した。澤邊氏は東日本大震災によるシニア層の旅行控えが発行数に影響したとの考えを示し、今後シニア層が団塊世代の退職、少子高齢化の時代の流れにのり、人口ベースで拡大傾向にあることから「アクティブシニアへ明確なメッセージを発出して需要を喚起することが、旅行業界で重要な取り組みとなっていく」とした。4月からのVW事業でも取り組みのポイントにしていく考えだ。