オーストラリア、MICEビジネスの底力~ドリームタイム2011~

  • 2011年12月7日

オーストラリアらしいマーキーでのパーティ。ステージも設置可能だ  オーストラリア政府観光局(TA)は11月13日から、会議やインセンティブに特化したトレードイベント「ドリームタイム2011」を開催した。16日にシドニーで開催されたビジネスセッションには世界14ヶ国・地域から72名の旅行会社およびメディアが参加。そのうち日本からは大手旅行会社のイベント関連担当者およびランドオペレーター8名が集まった。ビジネスセッション後にはインセンティブを意識した盛大なディナーイベントも開催。TAのMICEマーケットにかける意気込みがうかがえる「ドリームタイム2011」となった。


成長するビジネスイベント
日本市場の目標28億豪ドル

TA本局局長のアンドリュー・マカボイ氏とTA日本局長の堀和典氏  TAでは、国内の旅行業界のみならず経済へのインパクトが大きいことから、ビジネスイベントの誘致に力を入れている。TA本局局長のアンドリュー・マカボイ氏は「世界が経済危機から立ち直りつつあるなか、過去2年間オーストラリアへのビジネスイベント関連渡航者も増加を続けている」と話し、MICE市場の拡大に手応えを示す。コーポレートミーティングやインセンティブなどビジネスイベントの現地消費額は、2009年の79億豪ドルから2010年には85億豪ドルに増加。さらに2011年には過去最高の92億豪ドルに達する見込みだ。

ビジネス・ネットワーク・セッションはシドニー・コンベンション・センターで行われた  TAは昨年11月、新しい観光産業の成長戦略「2020ツーリズム・インダストリー・ポテンシャル」を発表した。そのなかで、観光産業による経済貢献度を現在のおよそ700億豪ドルから2020年には倍のおよそ1400億豪ドルにまで拡大する野心的な目標を立てた。そのうち、ビジネスイベントについては高い収益が期待できるとして、2010年の85億豪ドルから160億豪ドルにまで伸ばしていきたい考えだ。

マーキーで開催されたウェルカムイベント。雨でも問題ない  ビジネスイベントでの伸び率の高い市場は、特にアジアに多い。2010/2011年度(2010年7月から2011年6月)の実績では、中国が前年比で28%増、シンガポールが24%増、インドが28%増、マレーシアが37%増、そして日本も25%増の1万876人と大きな伸びを示した(オーストラリア統計局)。現在ニュージーランド、米国、中国に次ぐ第4位の市場となっている。レジャーやビジネスも含めた全体の日本人渡航者数が前年度とほぼ同じの36万4149人となっているなか、MICE関連が増加しているのは特筆すべき傾向だ。

 マカボイ氏はインタビューのなかで、「実数はまだ少ないもの、日本のビジネスイベント市場は確実に成長している」と現況を説明。今後の目標として、「2020年までに日本人の観光消費額を現在の倍となる28億豪ドルにまで拡大し、そのなかでビジネスイベントの割合を5%以上に伸ばしていきたい」と述べた。TA日本局長の堀和典氏は「日本市場ではインセンティブの誘致に注力していきたい。フライトのキャパシティも限られていることから、大規模グループよりも小規模グループを積み重ねていきたい」と話す。TAでは2020年の日本人渡航者数を、2010年比で約40%増の56万人にまで増やす目標を設定している。