訪日3000万人「目標変えず」-観光庁長官、基本計画改定で

  • 2011年11月20日

 観光庁長官の溝畑宏氏は11月18日の定例会見で、現在見直しを進めている観光立国推進基本計画について、「訪日外客数を2019年に2500万人、将来的に3000万人にするという成長戦略の目標は、今の時点で変更する考えはない」と語った。2013年に1500万人、2016年に2000万人とした中間目標については「震災の影響を踏まえて見直す可能性はある」ものの、あくまで2019年に2500万人の達成に向けた「工程表の見直し」として位置づけ取り組んでいく考えだ。

 観光立国推進基本計画の見直しは、2011年3月末の閣議決定をめざして国土交通省交通政策審議会観光分科会で議論が進められており、直近では9月15日に第16回の会議がおこなわれたところ。溝畑氏は、「具体的に申し上げられる段階ではない」としつつ、「世界の中で日本が独自性を出し、国際競争力を身に付けること」がテーマになると説明。その上で、「国民の皆様に将来的な成功や目標のイメージ、(あるいは)選択と集中で何を重点化していくのかを提案する」ことが重要であるとの認識を示し、「骨組みは年内に固め、できるだけ早く基本的なことは述べたい」と語った。

 見直しの方向性のうち、休暇改革については引き続き「祝日法の改正による休暇分散」「家族の時間作り」「ポジティブ・オフ」を3本柱として取り組みたい考え。休暇分散は、全国を2つか3つのブロックに分けてそれぞれ秋に5連休を作ることをめざして取り組みを進めていたが、震災によって中断している。溝畑氏は「ライフラインや物流などの仕組みが正常化した時点で議論を再開することになっている。もう少し日本の経済状況を見ながらタイミングを判断したい」と語った。

 このほか、見直し後の基本計画には被災地の復興が盛り込まれる見通し。溝畑氏は、「東北復興は当然であり、国の施策として絶対」であるとし、「特に福島は東北の中でもとりわけダメージが大きい。福島の復興は大きな課題になる」とコメント。また、「災害に強い国としてのソフトとハードを用意していくということは、(観光に限らず)全ての施策に共通のテーマ」であるといい、危機管理対策なども盛り込んでいく必要性に言及した。