MPI Japan、震災発生時のMICEをテーマにセミナー開催−震災時の対応課題に

  • 2011年5月13日
 MPI Japanはこのほど、都内で「2011.3.11 その瞬間」と題したセミナーを開催し、東日本大震災発生時のMICE産業の対応について、コンベンション施設、展示会場、ホテル、MICE主催者などが各自の対応をもとに課題をあげた。セミナーでMPI JAPAN会長の浅井新介氏は今回の震災の経験を踏まえ、もしこうしていたら、こうしていればという「『たられば』を真剣に考えなければならない」とし、震災発生後の対応についてシミュレーションを実施し、対策を考えていく必要性を説いた。

 セミナーでは各登壇者が震災発生直後から翌日までの顧客への対応を中心に説明。通信、連絡、緊急輸送手段の確立や、地震になじみがない外国人顧客へのフォロー、帰宅ができない顧客に対する対応などが課題として上がった。日本経済新聞社文化事業局イベント事業部部長の坪崎哲夫氏は、「会場側と事前に話し合い、震災発生時に初動から何をするべきか調整しておく」ことの重要さを強調した。

 コンベンション施設からは、防災訓練では地震や火災発生の避難訓練を実施していたが、室内に待機したり、交通網の麻痺による帰宅困難な顧客の受け入れといった事態に対しては「想定外だった」との声も上がり、今回の震災の経験を生かした非常時の対処法をはっきり認識し、従業員全体で共有する必要性もあげられた。

 また、震災発生後のMICEについては「リーマンショックでも発生しなかったほどのキャンセルが出ている」という声もあがった。グランドハイアット東京セールス&マーケティング部部長の大野修一氏によると、MICE主催者からは安全性の確認を求める質問が多く寄せられており、「安全管理の責任が求められている」という。同ホテルでは緊急時対応に関する資料を作成し、MICEが安心して実施できる点をアピールするなど対策を実施。また、MICE開催費用の一部を義援金として寄付する取り組みも行なうことで、MICE開催による復興支援を訴えているという。


▽関連記事
観光庁、長官レター発出でMICEの中止阻止をはかる−3件成果も(2011/04/28)